日本共産党

2003年10月6日(月)「しんぶん赤旗」

新民主党が船出 幹部発言にみる

「政権交代」掲げ何をめざす


 自由党と合併し、五日の結党大会で船出した新民主党。「選挙で勝って政権交代する」(菅直人代表)とアピールするものの、「自民党政治を変える」という言葉は聞かれません。同党幹部からは、「ベース(基本)は自民党と同じ」との声も。新民主党は何をめざすのか、幹部の発言から見てみます。


「構造改革」

「スピーディーな改革実行」

 「小泉総理にできないスピーディーな改革が、民主党が政権をとれば実行できる」(菅直人代表、九月二十九日代表質問)

 失業・倒産を激増させ、国民に痛みを強いる小泉内閣の「構造改革」に対決するどころか、規模とスピードで競い合っているのが民主党です。菅氏は、「小泉改革はあまりにも遅すぎる」という「経済界」の声をわざわざ紹介。民主党こそ経済界の期待にもこたえられるとアピールしました。

 基本政策では「市場原理を貫徹することにより、経済構造改革を行う」ことを掲げるなど、「構造改革」路線の“本家”を自認。「規制改革を含めてしっかりやっていれば、早く成果が出たはず。それを(小泉首相は)抵抗勢力と妥協を重ねて、あやふやにしてきたから、これだけ遅れた」(岡田克也幹事長、九月二十八日のNHK番組)というわけです。

外交・安保

「ベースは自民と違わない」

 「基本的に、外交・安全保障のベースは自民党と違いません。日米同盟を基軸にしながら、国連などの多国間の協調関係を大事にしていこう」(枝野幸男政調会長、九月二十七日放映CS番組)

 イラク派兵と巨額の戦費負担に突き進もうとする小泉首相。このアメリカいいなりの外交・安全保障政策で「ベースは違わない」といい、その根源にある日米軍事同盟も「基軸」と位置付けているのが新民主党です。米軍の先制攻撃の戦争に参加するための有事法制にも賛成しました。

 違いといえば「アクター(担い手)の踊り方」(同前、九月二十五日の記者会見)と主張します。たしかに、政府・与党が強行したイラク派兵法による自衛隊派兵には反対していますが、国連決議が出た場合は「自衛隊を出すことも考えた方がいい」(岡田克也幹事長、四日放映CS番組)とのべ、多国籍軍への参加まで言及しています。

 「マニフェスト」には、弾道ミサイル防衛の「必要性を踏まえ」、従来の軍事費の振り替えで約五千億円の予算措置をとることまで盛り込みました。これに対し、「現政府と同じ感覚で予算措置したいというのは、どういうことか理解に苦しむ。これでは民主党は第2自民党、自民党菅派と言っても過言でない」(「朝日」九月九日付「声」欄)と痛烈な批判も。

憲法

「護憲を貫く議員はいない」

 「護憲を貫く議員はいない。わが党は論憲だから」(枝野氏、九月二十七日放映のCS放送)

 小泉・自民党が「二〇〇五年までに党の改憲案を」と日程まで示して狙う憲法九条改悪。これに民主党が「反対」といわないのは、「新しい憲法を創造するところに、国民的な議論をすることは大いに結構ではないか」(菅氏、「朝日」四日付)という立場だからです。「マニフェスト」にも“憲法を創(つく)る”(創憲)の立場を明記。昨年まとめた党憲法調査会の報告書では「集団安全保障活動への日本の参加を可能にするため」として、「憲法解釈の変更」とともに「憲法の条文改正」を選択肢としていました。

 「政権をとったら、内閣法制局の長官も代え、法制局見解も全部ゼロベースで見直す」(枝野氏、九月二十七日のCS放送)として、「集団的自衛権の行使はできない」とする政府の憲法解釈を変更することを示唆しています。

消費税

「6%分が基礎年金で必要」

 「消費税6%分が基礎年金として必要となる」(菅代表、五日民放テレビ)

 民主党は、財界が音頭をとっている消費税税率アップにも「反対」といいません。

 それは同党が、社会保障の財源を消費税増税に求めているからです。菅氏は「将来はやはり消費税をあてるしかないだろう」(二日、連合大会)と主張。「名目2%程度の成長が定着した後に消費税の議論をする段階になる」としています。

 枝野政調会長は「国民基礎年金は消費税率で調整する」として、消費税2%アップを主張しています(「毎日」二日付)。


自民議員も「路線は同じ」

 新民主党について、自民党や財界、マスコミがどうみているのでしょうか。

 〇…山本一太参院議員「民主党のマニフェスト(政権公約)、やっぱりライバルだから最初から最後までみたんです」「民主党のマニフェストをみていると、わくわくしないし、路線は小泉さんと同じであって、それをさらに過激にしただけ」(九月二十六日放映のテレビ朝日系「朝まで生テレビ」)

 〇…奥田碩日本経団連会長「民主党は自民党と大きな差がない。消費者サイドに立って庶民の気持ちを代弁すべきだ」(七月十六日、菅代表との会談で)

 〇…「民主党は、よく小泉改革の中身は実は民主党が先にいっていたことが多いと、だからわれわれが本家だということも主張されますけれども、でも同じ土俵で改革をいいあっている印象もなきにしもあらずですけれども」(薬師寺克行「朝日」論説委員、四日放送CS番組で)

 〇…「民主党が政府の構成など、『器』の改革に熱意を示すのは、政策という『中身』で自民党との明確な違いを打ち出せずにいる事情も影響している。/民主党はもともと、小泉首相の掲げる構造改革路線の“本家”を自任しているだけに、小泉政権と方向性が重なる部分が少なくない」(「読売」九月二十四日付)


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