日本共産党

2003年9月21日(日)「しんぶん赤旗」

チュニジアの七日間(27)

中央委員会議長 不破哲三

ベンヤヒア外相との会談 (その5)


ベンアリ大統領からかさねての伝言

 外相の中座のあいだ、サラ・ハンナシ駐日大使と、大会での各国との交流などについて話していると、外相が席にもどってきた。

 ベンヤヒア いまベンアリ大統領から電話があり、今日の会談の内容について報告した。大統領から不破議長への次の伝言があった。「今回はお会いする時間がとれず、たいへん残念に思っています。残りの滞在期間をチュニジアでゆっくり過ごしていただきたい。この大会への議長の参加を通じて、双方が深く知り合える機会になったことを喜んでいます。次回はぜひ、時間をとって話し合いたい、と思っています」

 不破 大統領が置かれている事情も、また私たちへのお気持ちもよく分かっているので、よろしくお伝えください。

お互いの歴史と文化を知り合うこと

 ベンヤヒア外相は、駐日大使の時代に、チュニジアの歴史と文化への理解を広めようと、歴史的文化的遺産の展示会を企画し、札幌から東京、名古屋、大阪など全国各地を十八カ月間にわたってまわり、自分にとってもそれが日本を知るよい機会となった経験を語り、チュニジアの歴史と文化を知ってほしいとかさねて要望。

ハンチントンについて

 第12回、25回でのベンヤヒア外相の発言のなかで、ハンチントンの「文明の衝突」説が二度にわたって紹介されました。

 サミュエル・ハンチントンは、一九二七年生まれのアメリカの政治学者。国際戦略論の専門家として、アメリカ政府の国家安全保障会議や統合長期戦略委員会の活動にも参加してきました。

 ベンヤヒア 近くのバルドー博物館のモザイクは、世界的に有名で、ローマよりもよく保存されています。

 不破 バルドーは一昨日見学した。ハンナシ駐日大使も、出発前に、東京で勧めてくれました。

 ベンヤヒア チュニジアの歴史の発見をより深くするために、チュニジアをまた訪問していただきたい、と思います。大統領も同じ気持ちを私に託しました。チュニジアは、小さな国だが、大きな歴史をもっています。

 不破 今回の訪問で、歴史的な遺産をくまなく見たいという気持ちをかきたてられました。チュニジアでカルタゴが興(おこ)った時代は、日本はまだ縄文時代という土器の時代でしたからね。

 ベンヤヒア(笑って) あなた方は、いまでは私たちを追い越してしまいました。本日は、興味深い討論ができたことを喜んでいます。明日のカイラワン訪問を楽しんでいただけることを願っています。

 私の方からは、「しんぶん赤旗」のこの間のチュニジア訪問関係の記事をまとめてコピーしたものを、ベンヤヒア外相に手渡した。日本語は通じないとしても、写真を見れば、その意味はわかるはずである。そして、チュニジア以外の国の新聞で、この国の政権党の大会の様子を、これだけ報道している新聞が、「しんぶん赤旗」のほかにないことは、間違いないだろう。

チュニジアの外交哲学に深くふれた会談

 あとで、緒方さんから聞いたところでは、例のハマム氏は、会談の時間を「三十分間、長くて四十五分」と予告していたらしい。それが、一時間三十分におよぶ会談となったのは、「話がはずみ、かみあったよい会談となった」ものだと、“日程調整役”として大いに喜んでいたとのこと。二日後、空港に外務省から見送りにきたのは、出迎えのときと同じく、アジア局次長のアンタル氏だったが、彼も「外相との会談は、一時間半ものよい会談だったと聞いている」と語っていた。私にとっても、チュニジア外交の哲学に深くふれた思いの残る、たいへん印象的な会談となったことは、間違いない。(つづく)


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