日本共産党

2003年9月11日(木)「しんぶん赤旗」

新人医師の臨床研修がどう変わる?


 〈問い〉 新人医師の臨床研修制度が変わるそうですが、どうなるのですか。(京都・一読者)

 〈答え〉 二〇〇〇年の医師法改定により、二〇〇四年四月から新人医師の臨床研修が必修となります。その条件整備が、いま焦点になっています。

 日本では戦後の一時期、インターン制度が導入されていました。医学部卒業後、一年間は医療機関で実習を積み、その後、国家試験を受けて医師になるというものです。しかしインターンの期間中は医者でもなく生活保障もない不安定な状態で、無資格の医療行為がアルバイトとして広がるなど矛盾が噴出し、一九六八年に廃止されました。

 そして、医師免許を取得した後に二年以上の臨床研修を行う制度に代わりましたが、必修ではなく努力規定でした。研修医の地位も不安定で、現在、国公立大学の病院では月二十万円前後、私立の多くはその半分以下という低賃金です。生活のため夜間の当直などのアルバイトをする研修医も多く、医療事故や過労死も起きています。

 来年四月から臨床研修を必修とするなどの医師法改定が行われたのは、こうした事態が背景にあります。しかし、新人医師が研修に専念できる待遇がなければ、かつてのインターン制度のような矛盾がおきます。日本共産党は研修への補助金の抜本増額などを要求し、二〇〇〇年十一月十六日の小池晃参院議員の質問では、津島雄二厚生大臣が「必修化する以上は、みんな腹すえてやっていただけるようにする」と約束しました。

 厚生労働省が八月に発表した来年度予算の概算要求は、「医師臨床研修の推進」として二百十二億円の補助金を計上しました。研修医の受け入れ病院に、研修医給与や指導医手当、研修費用を支給するものです。今年度予算四十三億円の約五倍で、研修医への報酬を一人あたり月三十万円まで引き上げられるといいます。重要な成果であり、予算編成でも実現させる運動が大切です。

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 〔2003・9・11(木)〕


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