日本共産党

2003年9月6日(土)「しんぶん赤旗」

比例定数80削減 民主公約に

多様な民意を切捨て


 民主党の菅直人代表は、次期総選挙の政権公約に衆院比例代表の定数を八十削減することを盛り込む考えを示しました。「小選挙区中心の制度にして国民の意思が政権交代という形であらわれやすくすべきだ」(三日)というのが理由です。

国民の参政権侵害

 現在の衆院定数は小選挙区三百、比例百八十の四百八十。それを、一気に八十も削減することは、有権者と国会を結ぶパイプを著しく細くするもので、国民の参政権からいっても大問題です。

 憲法は前文冒頭で「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し…」としており、この代表者を「削れば削るほどいい」というのは、国民の参政権否定につながりかねない議論です。

 「民間もリストラをしているから」という議論もありますが、大企業の身勝手なリストラを当然視すること自体が問題です。ムダをなくすというなら、政党が国民の税金を分け取りする政党助成金(総額三百十七億円)こそなくすべきでしょう。

民意のゆがみ増す

 まして、比例部分の定数を削減するというのは、民意を正しく反映している部分を削るということであり、二重の参政権侵害になります。

 現行の小選挙区比例代表並立制を導入した際、当時の細川内閣は、「民意を集約」する小選挙区制と「民意を反映」する比例代表制を組み合わせることで「両方を相補う」と説明しました。小選挙区制が多様な民意を切り捨て、「大政党が得票以上に議席をとる場合がある」(細川首相、九三年十月十三日衆院本会議)と懸念されたからです。それを「緩和」するために「多様な民意の反映のための比例代表制を組み合わせた」(同前)のです。

 実際、一九九六年と二〇〇〇年の総選挙で、自民党は小選挙区で約四割の得票で六割近くの議席を得ました。このような、民意を大政党本位にゆがめる小選挙区制の害悪は、比例部分を減らせば減らすほど拡大します。

 二〇〇〇年には、自民、自由、公明各党の賛成多数で比例代表部分を二十議席削減し、小選挙区制の弊害はいっそうひどくなりました。比例定数をさらに八十削減するなら、民意の切り捨てがいっそうすすむことは明白です。

 仮に、現行の十一ブロックのまま比例定数を八十削減すれば、定数六の四国ブロックなどは定数三−四のほぼ中選挙区となり、比例代表の意味をなさなくなります。

単純小選挙区制も

 菅氏は、小選挙区制を「二大政党制をすすめる制度」(八月十日の講演)ともちあげ、将来的には単純小選挙区制だけの定数三百もありうるという考えを示しました。

 多様な民意の反映を遮断する小選挙区中心の選挙制度で虚構の多数派をつくっても、国民の期待する政治の改革にはつながりません。(K)


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp