日本共産党

2003年7月3日(木)「しんぶん赤旗」

養殖魚へのホルマリン使用 禁止されるが…


 〈問い〉 養殖フグへの使用などが問題になっていたホルマリンが禁止されるそうですが、これまで政府は何をしてきたのですか。(大阪・一読者)

 〈答え〉 発がん性などが指摘されるホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液)を養殖トラフグの寄生虫駆除などに使用している業者が、地域によってかなりの数にのぼることが明らかになったことを背景に、今年六月、薬事法が改正されました。

 これまではホルマリンなど未承認の医薬品の動物への使用には、指定医薬品の違反と違って罰則がなく、行政指導による規制となっていました。今回の改正で、未承認医薬品を食用に供する動物に使用することは禁止され、違反には罰則が科せられます。農林水産省は七月三十日施行をめざし、規制対象魚種を全魚種に拡大するなどの省令改正を行います。

 かつて消毒剤などに使用されていたホルマリンは、一九七〇年代にアメリカで発がん性が報告されたことをうけ、水産庁もたびたび使用禁止通達を発し、業者団体も使用禁止を決議してきました。使用者は厳しい反省が求められます。

 同時に、通達を発した農林水産省自身の指導の弱さも指摘されています。通達の内容も、代替薬がないなど他にかわり得る手段がない場合で、魚卵や稚魚の消毒などにやむを得ず用いる場合などは許容されるような趣旨となっており、寄生虫駆除の指定医薬品などが開発されたあとも、ホルマリンを全面禁止する通達は出ていません。ホルマリンを使用している業者がいることはかねてから指摘されていましたが、実態調査もほとんど県まかせとなっていました。通達の実効性を確保するため、関係者に使用記録保持の努力義務を課したのも、ようやく今年四月のことです。罰則がなかったことだけが通達不徹底の原因とはいえず、政府は行政のありかたを見直す責任があります。

 なお、最近急増している輸入フグの、ホルマリン使用をどう規制するかも課題となっています。

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 〔2003・7・3(木)〕


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