日本共産党

2003年6月20日(金)「しんぶん赤旗」

主張

大学法人法審議

ここまできたら廃案しかない


 国立大学法人法案の重大な問題点が、参院の審議を通じて、いっそう明らかになっています。「法案は大学の教育研究に国の介入を強める」という野党の追及にたいし、遠山文科相が何度も説明不能になったばかりか、みずからの答弁をくつがえす資料まで明らかになりました。

 小泉内閣と与党は国会の会期を四十日間も延長し、自衛隊を占領下のイラクに派遣する特別措置法などとともに国立大学法人法案の成立を狙っていますが、これらの悪法は廃案にするしかありません。

法案の欠陥を証明

 参院文教科学委員会では日本共産党の畑野君枝議員が、大臣が定める法人化後の大学の中期目標について「教育研究の質の向上までなぜ定めるのか」と質問、遠山文科相は「全学的な視点から簡潔に記載するだけであり、学部、研究科の活動までは記載しない」と答弁しました。

 ところが、昨年十二月に文科省が大学に示した中期目標の原案作成のための資料には「学部、研究科ごとの具体的な事項」まで記載を求めていたことが民主党議員の質問で示され、審議が紛糾、中断しました。

 大臣が大学の目標を定めれば学部・研究科などに関与することになり、教育研究の内容への介入となります。与党側は大臣が「答弁に誤りがあった」とおわびすることで詳細な中期目標原案の作成を求めていた事実は不問に付そうとしていますが、審議を愚弄(ぐろう)した大臣の責任と法案の欠陥は明らかです。

 これまで国が国立大学の施設整備を放置してきたために、法人化で労働安全衛生法の適用対象となると、大学の施設の多くが安全管理の基準を満たさないことになります。文科省は対策に必要な経費を、三百六億円とする調査結果を国会に提出しました。

 この問題でも日本共産党の林紀子議員の質問でそれが大学の現場の実態をふまえない「机上の数字」で実際には来年四月までの解決が不可能である疑念が浮かび上がりました。違法状態がうまれることを承知で法案を成立させるのは、国会の自殺行為といわねばなりません。

 審議を通じて法案の重大な問題点が明らかになるとともに、国民的な批判もひろがっています。

 ジャーナリストの桜井よしこ氏は自らもよびかけた十六日の国会内集会で「大学への官僚統制が強まり、独創的な研究ができなくなる」とのべ、法案の廃案を求めました。マスメディアからも、「法案をどう読んでも、大学が十分な自主性をもって目標や計画を決められる内容とは思えない」(「朝日」社説)、「官僚の過剰介入を防ぐ方途を真剣に検討すべきだ」(「日経」社説)などの厳しい指摘がされています。

 国立大学協会の総会(十一日)では、「独立行政法人通則法の丸のみではないか」「総務省による評価とは何か心配になっている」など、発言した学長のすべてから法人化への異論が表明されました。国会には、多くの大学関係者が審議の傍聴にかけつけています。

採決強行は許さない

 法案が当初の会期内に成立しなかったのは審議を通じて欠陥が証明されたからであり、会期延長のごり押しのもとで、悪法の採決を強行することは絶対に許されません。

 大学への国家統制を強め、学問の自由を脅かす国立大学法人法案を廃案においこむため、国会内外のたたかいをいっそう強めようではありませんか。


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