2003年6月4日(水)「しんぶん赤旗」
国会審議中の国立大学法人法案について、東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授会が二回討議したさい、多くの構成員から強い懸念が表明されたと、浅島誠同研究科長・学部長が五月二十七日の全学学部長会議で報告しました。同学部ホームページがその経過と意見の内容を公開しました。
意見は次の五点です。
(1)教育・研究にかかわる「中期目標」の最終決定権が文部科学大臣にあり、教育・研究についての知的資源を保持している大学自身が「中期目標」を自主的に決定できる形になっていない(2)学長の選考が、学長自身の指名する学外者を多く含む「学長選考会議」で行われることになっており、教育・研究の現場の意見を直接反映する選考方法になっていない(3)教授会など大学本来の任務である教育・研究を教員が自律的に担う制度の尊重についての言及がなく、経営が教育・研究の質の保持や向上を第一の目標として行われるべきであることが示されていない(4)経営面が重視されることによって、利益や応用に直結しない基礎的研究が軽視される懸念がある(5)社会からの公正な大学評価が行われる上で、「国立大学法人評価委員会」が文部科学省に設置されるという仕組みの妥当性に問題がある。
さらに、法人化にともなって適用される労働基準法、労働安全衛生法等に適合する体制が準備できていない点についても懸念を表明しています。