日本共産党

2003年5月28日(水)「しんぶん赤旗」

投資家呼び込みに証券取引法を変えたって?


 〈問い〉 証券市場への投資家呼び込み策として、証券取引法が改定されたそうですが、どんな内容ですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 五月二十三日に成立した、政府提出の証券取引法改定案は、低迷する証券市場に「(個人投資家の)参加を促進するためのインフラ整備」(竹中金融担当大臣)だと説明されています。業界の要求に沿った販路の多様化などが柱ですが、いまでも不十分な投資家保護規制がいっそう後退します。

 たとえば、証券会社などの委託で証券取引の仲介をする「証券仲介業」を解禁します。いままでは証券会社の役員・従業員のうち、証券会社によって登録された「証券外務員」だけが行っていた業務を、証券会社に属さない個人や法人も開業できるようにするものです。

 しかし、証券会社が直接登録する外務員でさえ、二〇〇一年七月〜〇二年六月に証券取引等監視委員会が勧告した二十六件の不正事件のうち、二十三件に関係し処分を受けているのが実情です。不正防止の新たな手立てもない参入拡大は、被害多発を招きかねません。

 また資産を証券会社に預けて運用させ、口座残高に比例する手数料を支払う「ラップ口座」はこれまで、投資を一任された証券会社が自己売買に顧客口座を不正利用しないよう、自己売買内容を顧客に書面で開示する義務がありました。この開示義務を業界が敬遠していることを理由に、改定法は一定の要件を満たせば開示義務も解除できるようにします。

 二〇〇一年から株式会社化が始まった証券取引所の、株式の保有上限を5%から50%に一気に引き上げ、取引所が持ち株会社の傘下に入ることも可能にします。一部株主の影響力が増大し、業界の自主規制機関としての機能がゆがみかねません。

 こうした消費者無視の規制緩和でなく、包括的な金融消費者保護法制や、迅速な紛争処理機関、消費者重視の補償制度の確立こそ、国民が証券市場に求めているものです。

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 〔2003・5・28(水)〕


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