日本共産党

2003年5月19日(月)「しんぶん赤旗」

記者ノート

整理担当して10年、読者と共に泣き笑い

投書は人生の“教科書”

読者室 新井国夫記者


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 読者室で投書欄の整理担当になって十年。世の中の動きやその時々の政治の焦点についての意見が反映されるのが投書欄です。「被爆者にも健康管理手当を減額」、「(切りつめるところがなく)好きな風呂も三日に一度」、「お母さんと呼ばれなかったのが心残り」…。毎日、投稿担当者から渡される投書には、自民・公明党の悪政にたいする怒りと告発がこもっています。そして、読者同士の人生交流も。政治や社会の民主的変革をめざす世論形成の場が「赤旗」投書欄の特色です。一通一通の投書に共感し、時には笑いや涙が。「赤旗」の投書はすばらしい。私にとって投書は人生の“教科書”です。

読んでもらう見出しの工夫

 アメリカが無法なイラク戦争を強行した三月二十日前後、読者室は熱気に満ちていました。イラク戦争反対の声、ピースアクションをおこした投書が殺到したのです。

 「音楽を通じて平和へのメッセージを発信」、「不登校の娘が自分から集会に参加」、「体調悪い母が思いを詩に」…。投稿担当者から渡される投書をさばきながら私は、感激の連続でした。みんなで意見をだしあい、イラク戦争問題の全面特集を計画、若者の投稿による「みんなでチャット」を含め五回組みました。整理担当の提起で、趣のある絵手紙で異例の特集「イラク戦争ストップ!」も掲載しました。

 人びとの良識と世界平和を願うたたかうエネルギーを示す投書欄ができたのではないかと思っています。整理担当として、読んでもらうための地紋見出しの工夫にもおのずと力が入りました。

 強い感銘を受けたのは、三日の憲法記念日にちなんでの投書。「憲法を守らせたい!」の投稿募集に応えた投書がたくさん寄せられました。「好きな前文を守れと憲法劇で訴え」、「私の生き方の根底に97条が」、「99条を首相は知っていますか」など。憲法を守れとの読者の熱い思いに学ばされました。

 憲法の平和と民主的な原則をふみにじる有事法制をめぐる情勢が緊迫するなかで迎えた憲法記念日。全国紙が憲法問題の投書をまともに載せていないのと対照的に、「赤旗」は理性的な投書欄ができたのではないでしょうか。

 こうした「赤旗」投書欄の果たす役割と性格を知りたくて、創刊号から今日まで調べてみました。通常の仕事の合間をみての作業でしたので一年がかりでした。

 1928年2月1日付の創刊号で、「わが『赤旗』は、諸君自身の機関紙である」とし、「諸君のあらゆる革命的闘争は、最も敏速に最尖鋭にこの機関紙に反映させねばならぬ」と、投稿をよびかけています。

 よびかけに応えた「労働婦人代表者会議開催に就いて ××紡績工場細胞 ×子」(1931年3月25日付)などの投書が掲載されました。この「赤旗」は、靴の敷き革の下や工具のなかに入れ、国民の手から手へとわたされていきました。

創刊のときから読者に支えられ

 「赤旗」は、創刊されたときから、一貫して投書を重視し、読者にささえられてきたことがわかりました。

 1931年5月17日付で読者のページ「鉄の火花」が創設されています。「鉄の火花」は、33年11月7日付まで続き、多くの投書を載せています。「戦争反対の大衆斗争をまき起こせ 井上晴子」、「組織は秘密に。行動は公然と 日本××工場細胞 ××生」など。侵略戦争反対、労働者の生活向上、強大な党組織の構築などを要求し、主張する多くの投書は、非合法の下、民主的、進歩的世論形成の役割を果たしてきました。

 「赤旗」は、天皇制政府の野蛮な弾圧によって、1935年2月20日付をもって停刊せざるをえませんでした。

 戦後1945年10月20日に再刊、50年7月18日米占領軍の弾圧で無期限発行停止に。52年5月1日に「アカハタ」復刊…。54年11月26日付から投書欄「国民の声」を設けています。61年12月1日からは「読者からの手紙」に変わりました。

 党が大きくなるにつれて投書欄も発展してきました。16n建てになった73年9月1日付から毎日下五段を「読者の声」として投書欄を常設し、定着してきました。82年10月11日付から「読者の広場」のタイトルで一nが投書欄になり拡充されました。

 この間、その時々の自民党政府の悪政にたいする批判の投書を載せ、平和と暮らし、民主主義を守る言論構築の役割を果たしてきました。たとえば、90年11月には、「海外派兵法」阻止へ向けて連日一大キャンペーンを展開しています。

 90年代に入って特色の一つは、「聞いて聞いて」のワイド版を設置したこと(92年3月)。日常の身辺雑記と素朴な暮らしのつぶやきがおもしろいと好評です。整理担当の提起でカットを入れ、親しみやすくしました。

 若い人の新鮮な感性に刺激を受けているのが2000年5月4日に発足した愛称「若こだワイド」の欄です。この「若いこだま みんなでチャット」は投書欄では唯一の若者のページとして好評です。

 さて、いっせい地方選も終わりました。投書欄には、「みんなの力で守った四議席」など、奮戦記が寄せられています。各地で「負けられない」と草の根で頑張った投書を読みながら泣けました。

 毎日寄せられる投書から、政治や社会を変え、歴史の進歩をめざす日本共産党の役割と値打ちに強い確信をもつことができ、勇気をもらい活力の源となっています。

 私は、投書欄を作ることに喜びを実感しながらの毎日です。


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