日本共産党

2003年3月3日(月)「しんぶん赤旗」

底無し、大島農水相の献金疑惑

追及逃れの答弁づくり

衆院法制局を私物化

秘書が「流用」は裏付けなし


 青森県の八戸市民病院の工事受注をめぐる口利き疑惑に端を発した大島理森農水相の一連の疑惑は、同じ八戸市内のスーパー撤退問題にまつわる六百万円のヤミ献金疑惑、同氏が衆院法制局に追及逃れの答弁を作成させた問題など、底なしの様相です。

 国会議員の立法活動を補佐し、法律解釈に携わる衆院法制局。それなのに、答弁側の大臣に“便宜”をはかっていたのでは、まともな国会審議になりえません。

 深刻なのは、二月二十日の「政治とカネ」をめぐる集中審議での大島農水相の次の答弁です。「(六百万円を)秘書自身が預かっていた、そしてその一部を流用したということでございますから、そのように、私どもは(献金として)処理のしようもない」

 六百万円の献金を政治資金収支報告書に記載しなかったという政治資金規正法違反の疑いを否定した、この日の答弁の核心部分です。

 衆院法制局が作成した想定答弁集には「金銭は秘書個人の所にとどまっており、そこで個人的に費消されたということですので、当方としては、処理のしようもない」とあり、これをもとに答弁したことは疑いありません。大島農水相も二月二十六日の審議で衆院法制局につくらせた答弁集であることを認めました。

臨時チームを編成

 想定答弁集は、集中審議の前日の二月十九日、大島農水相からの電話依頼で、郡山芳一法制次長以下五人が臨時チームまで編成し、四時間かけて作成。郡山次長と大島農水相が何度も電話連絡をとりあい、大臣の疑惑を追及する発売前の週刊誌記事までチェックする力の入れようでした。

 さらに、大島農水相が何度も想定答弁集を作成させていたという疑惑も浮上。窪田勝弘衆院法制局長は「守秘義務」をたてに報告を拒否し、真相を隠す姿勢です。

 衆院法制局の所管委員会は議院運営委員会。その議運委員長を務め、自民党国対委員長などを歴任した大島氏と衆院法制局との長年の癒着を指摘する声もあがっています。

答弁の核心揺らぐ

 大島農水相は、受け取った六百万円について、元秘書が一部を流用したから、自分は「献金」として処理できなかったと主張しています。しかし、当の元秘書は、週刊誌で「流用」を否定。流用した事実がなければ、六百万円は政治資金収支報告書に記載のない違法なヤミ献金ということになります。

 しかも、“秘書に返却させた”としていますが、返却したのは献金後、一年半もたってからです。

 大島農水相の答弁はあいまいです。日本共産党の春名なお章議員の追及によって、元秘書が私的流用を認めた事実はなく、大島農水相が自分で「私的流用を確信している」にすぎないことが明らかになりました。その「確信」となる具体的事実を示すよう求められても、「春名委員と私は人間に対する応対は違うかもしれない」「彼は私の遠縁だ」と見当はずれの弁明で、事実上答弁不能となっています。大島農水相の弁明の核心が揺らいでいます。

 真相の解明へ、ゆるがせにできない重大局面を迎えています。(小林俊哉記者)


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