日本共産党

2003年2月18日(火)「しんぶん赤旗」

武富士 残酷ノルマ

社員に債務保証を強制

根こそぎ回収! 会長「御指導」


 「一番一番」のCMでサラ金業界最大手に君臨する武富士。その武富士で、いま、違法な取り立てや、社員へのサービス残業が問題になっています。武富士の内部で何が起きているのか−−。元社員の証言などから探ってみました。

元支店長が実態告発

自殺思い詰め

 「父・母・兄・姉・家族には迷惑を掛けるかも知れませんが保険金で支払ってください」。武富士の支店長、ブロック長、本社人事部課長代理を務めたAさん(32)は、昨年四月にこんな遺書を書き、死を覚悟しました。

 過酷なノルマ。早朝から深夜までの仕事量。終電にも間に合わずサウナで仮眠する日々。土、日曜日も出勤。ノルマ未達成だと有無をいわせず降格人事。Aさんが自殺を思い詰めるまでになったのは、自分にまったく責任のない四千八百万円もの「債務保証」を会社にさせられたことからでした。

 いまAさんは、この不当な「債務保証」の実行をせまる武富士と裁判でたたかっています。

「草も残すな」

 ノルマ達成をあおる武富士の追及は、常軌を逸しています。「会長御指導」という創業者・武井保雄会長の指示文書が送られてきます。

 「『泥臭さを忘れるな』!」「『支店全債権』 根こそぎ回収しろ!」「ペンペン草も残すな!」「『執念命(いのち)』!」「『ぶんなぐられても』『けっとばされても』 あげくの果てには『蜂に刺されても』『蟻(あり)地獄にはまっても』『絶対に諦(あきら)めない精神』!」−。そんな過激な檄(げき)が社内に伝えられ、目標達成のために電話での催促、支払い不可能な客にも過剰貸しつけを押し付ける営業に駆り立てられるのです。

 こうした取り立てが行われる背景について、Aさんは社員へのサービス残業を含む強制労働の実態を指摘します。

 「青森支店のときには夜行で上京せよと本社に呼び出され、車内での宿題として会長語録の丸写しを指示された。ほとんど一睡もしないで会議に参加させられた。月に二日休めるかどうか。連休をとれたのは正月と五月のゴールデンウイークの二回だけ。新婚旅行のために休暇をとったら左遷させられた同僚もいます」

 ティッシュ配布の時間と回数、督促電話をかける時間と回数まで指示され、目標数字を達成しないと電話で何度も怒鳴られます。

 人権を無視したノルマ達成競争で武井会長への忠誠心がためされ、出社・退社時に会長の写真へのあいさつが強制されます。

裁判も始まる

 武富士のノルマ達成競争を告発するたたかいが始まりました。二〇〇一年に大阪の元支店長・御木威(おんき・たけし)さん(29)が大阪地裁に未払い賃金請求の訴訟を起こしました。

 今年一月にはAさんら元従業員十人が過去二年分の未払い残業代など計約一億六千百万円の支払いを求めて東京地裁に提訴。第一回の口頭弁論が二十四日午前十時半から東京地裁で開かれます。

 「降格させられると賃金は半分以下。転勤転勤でなんども学校を移らなければならなかった娘。そんな状態で離婚しました。支払い義務のない人にまで返済請求をする。しないと達成しない数字の追及。武富士の実態を世の中に告発したい」とAさんは語っています。


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