日本共産党

2003年2月4日(火)「しんぶん赤旗」

違法取り立てで小3の子、うつに

武富士に慰謝料請求

校門前で待ち伏せる

岐阜市の女性提訴


 サラ金最大手「武富士」の違法な取り立てで小学校三年生だった長男がうつ症状になるなど精神的苦痛を被ったとして、岐阜市の女性(35)が三日、武富士に五百万円の慰謝料を求める訴訟を岐阜地裁に起こしました。

 訴状によると、原告の女性は一九九六年三月、医療費と生活費のために武富士岐阜駅前支店で五十万円を借り入れました。女性は九七年ごろから返済が遅れることがあり、電話で厳しい督促を受けていました。

 女性が勤務先をかえていた二〇〇〇年九月、武富士の社員が、当時小学校三年生だった女性の長男(10)が通う小学校の校門の前で長男を待ち伏せ、同級生と下校してきた長男に「お母さんの友だちだけど、お母さんに急用がある」と声をかけ、女性のパート勤務先やその電話番号、携帯電話の番号などを聞き出しました。

 長男はこの後、登校をいやがったり、深夜の徘徊(はいかい)や自傷行為などをするようになり、精神科で「注意欠陥多動性障害」(ADHD)で「うつ的傾向にある」と診断されました。長男は医師に「お母さんのところに借金取りがきたり、電話がくるのでこわい」と話し、いまも背広姿のおとなを見るとパニック状態になったり、自宅に電話がかかってきてもおびえるといいます。

 訴状によると、昨年十月には、女性が長男を学校に送ろうと自宅を出たところを待ち構えていた武富士の社員が「○○さんですね。知っていますよ」などと女性と長男の前で大きな声を出し、女性は三千円を振り込むことを約束させられました。また、お金がないという女性に対し、武富士社員はたびたび「証拠を見せろ」といって、財布やかばんを開けさせ、数千円が残っていると返済を迫ったといいます。

 女性側はこれらの取り立て行為が、取り立てで私生活の平穏を害する言動で人を困惑させてはならないとしている貸金業規制法に違反するとしています。また当初、十万円の借り入れを申し出た女性に対し、「枠がある」と五十万円を貸し付けたのは過剰融資で、同法違反にあたるとしています。

 女性の武富士からの借り入れは、利息制限法(女性の場合年18%)で計算するとすでに過払いになっており、訴訟では約十一万円の過払い金の返還も求めています。

 同日会見した女性と代理人の鷲見和人弁護士、相談にのった水谷英二司法書士によると、武富士からは保証人でない女性の夫と母親に直接、「払ってほしい」と、金融庁のガイドライン違反である第三者への支払い請求がされていました。

 原告の女性は現在うつ病と診断されています。

 会見で女性は「子どもが背広を着た人におびえるのを見るのがつらい。おとなになっても治らないと社会生活に支障をきたしてしまう」と泣きながら話しました。

 この取り立てをめぐっては、武富士被害対策全国会議が昨年十二月、関東財務局に業務停止など同社の行政処分を申し立てています。


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