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2020年3月27日(金)

主張

辺野古訴訟判決

新基地建設の破綻取り繕えぬ

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、県による埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決は違法だとして県が訴えた「関与取り消し訴訟」で、最高裁は県の上告を棄却しました。国の主張を追認する不当判決で、到底許せません。玉城デニー知事は、今回の判決は埋め立て承認撤回の適法性に関する判断ではなく、引き続き県の正当性を主張していくと表明しました。今回の不当判決をもって辺野古新基地建設の破綻を取り繕うことはできません。

地方自治・民主主義破壊

 今回の訴訟をめぐる経緯は次の通りです。

 県は2018年8月、辺野古に新基地は造らせないとする故翁長雄志知事の遺志の下、埋め立て予定海域での軟弱地盤の判明や環境保全上の問題などを理由に仲井真弘多元知事が行った埋め立て承認を撤回しました。これに対し防衛省沖縄防衛局は行政不服審査法に基づいて審査請求をし、翌19年4月、当時の石井啓一国交相が県の埋め立て承認撤回を取り消す裁決を行いました。

 デニー知事は、総務省の下に置かれた「国地方係争処理委員会」に国交相の裁決は違法だとして審査を申し出ますが、同年6月に却下されます。このため知事は7月に高裁那覇支部に訴訟を提起します。しかし、同支部が10月に県側の訴えを退けたのを受けて上告し、今回の判決となりました。

 デニー知事はこの間、沖縄防衛局の審査請求は国民の権利利益の救済を目的にした行政不服審査法の乱用であり、違法だと主張してきました。併せて国交相は内閣の一員として新基地建設を推進する立場であり、沖縄防衛局の審査請求を判断する地位にはなく、埋め立て承認撤回を取り消した裁決は自作自演の違法なものだと訴えてきました。あまりにも当然です。

 デニー知事は「国が私人になりすまして行政不服審査制度を用いる手法がまかり通れば、政府が、その方針に従わない地方公共団体の行政処分に対して強制的に意向を押し通すことができるようになり、地方自治、民主主義が破壊される」と繰り返し強調してきました。今回の判決は、国家権力が行政不服審査制度を乱用し、地方自治・民主主義を破壊する行為にお墨付きを与えるものです。

 しかし、沖縄の辺野古新基地ノーの民意は揺らぎません。

 県民は、18年9月の県知事選でのデニー氏圧勝、投票者の7割超が埋め立て反対の票を投じた19年2月の県民投票、同年4月の衆院補選と7月の参院選での「オール沖縄」候補の勝利と、繰り返し明確な意思表示をしてきました。

あらゆる面で行き詰まり

 辺野古新基地は沖縄の民意に背き、政治的に破綻しているのに加え、技術的にも、財政的にも行き詰まりが明白となっています。

 沖縄防衛局は19年末、軟弱地盤の改良工事が必要なため、新基地完成に12年かかり、総工費も9300億円に膨れ上がる試算を公表しました。埋め立て予定海域には、改良工事が不可能な海面下70メートル以深にも軟弱地盤が広がる可能性が明らかになり、盛り土や護岸が崩壊する危険も指摘されています。

 沖縄では6月7日投票で県議選が行われます。安倍政権に沖縄の民意を改めて示し、新基地建設断念に追い込むことが必要です。


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