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2020年3月26日(木)

きょうの潮流

 ドイツのメルケル首相は赤ちゃんの頃、一家で旧東独に移りました。その7年後「ベルリンの壁」がつくられ崩壊までの35年間、閉ざされた国家で過ごしました▼「旅行や移動の自由を苦労してかちとった私のような人間にとって、そうした制限は絶対に必要な場合にのみ正当化されます」。「民主主義国家において、そういった制限は簡単に行われるべきものではありません」▼コロナ危機に際し、メルケル首相は国民にそう語りました。そして民主主義国家である以上、自分たちの政治的な決定は透明性を持ち、詳しく説明されなければならないと強調しました▼民主主義の国としてあるべき姿を示しながら、感染拡大を防ぐために制限しなければならない苦渋の決断。国民の心情に訴えながら協力と連帯を呼びかける姿がそこにありました。だからこそ、このスピーチへの共感がひろがっているのでしょう▼ひるがえって、この国の首相はどうか。五輪延期や一律休校、特措法。どれだけの負担や制約を国民に強いることになっても、心に響く言葉もなく原稿を読むだけ。記者の質問にもまともに答えない。国のよってたつ基盤さえ語れないリーダーに苦難の打開は託せず、国民の声で変えなければ▼メルケル首相は伝染病が教えてくれていることがあると。「私たちがどれほど脆弱(ぜいじゃく)であるか、どれほど他者の思いやりある行動に依存しているか。同時に、私たちが協力し合うことでいかにお互いを守り、強めることができるか、ということ」を。


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