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2020年3月24日(火)

きょうの潮流

 世界で最初の百貨店といわれるパリのボン・マルシェ百貨店での話。「変わった図案でございますね」。不思議そうに尋ねた店員に、近代オリンピックの創始者はこう答えました▼「この五つの輪の色と布地になる白色で世界の旗はみんな描くことができる。そして、五つの輪は世界の五大陸だよ」。古代ギリシャの遺跡から着想を得てクーベルタンがつくらせた五輪旗にまつわる逸話です(『オリンピック外史』)▼今に引き継がれる旗が初めて競技場に翻ったのは1920年のベルギー・アントワープ大会でした。第1次世界大戦のために前の大会が中止。戦火をこえて集った「平和の祭典」は、選手の宣誓が取り入れられた大会でもありました▼120年以上も続いてきた近代五輪の歴史上、中止となった夏季大会は3回。すべて国と国が争い、人間同士が命を奪い合う戦争が理由でした。しかしコロナ禍にある東京大会は、前例のない決断と対応が望まれています▼開幕4カ月前。ようやくIOCが延期を含めた検討を始めました。代表選考にかかわる大会が相次いで中止され、練習環境も整わないなか、選手や競技団体から延期を求める声が上がっていました▼ウイルスとのたたかいを戦争と呼ぶ国の指導者たち。それはオリンピックを中止に追い込んだ争いとは異なり、世界が手を携え立ち向かうべきもの。クーベルタンは旗を指していったと。「この五大陸が強く結び合っているように、スポーツを通して平和を守り通そうではないか」


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