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2020年3月14日(土)

主張

検察官逃げた発言

法相の資格がないのは明らか

 森雅子法相が、東日本大震災の時に検察官は最初に逃げたと国会で答弁した問題で、「法務省が確認した事実と異なる発言をした」「真摯(しんし)に反省し、発言を撤回して深くおわびする」と述べました。安倍晋三首相も、森法相に対し「厳重注意」したといいます。しかし、この間の森法相の答弁や発言は、「反省」や「おわび」の態度とはあまりにもかけ離れたものです。

首相の責任は重大

 安倍内閣は1月に東京高検検事長の定年延長を閣議決定しました。検察官には国家公務員法の定年延長規定が適用されないとした従来の法解釈を覆す違法な決定です。森法相の問題の答弁はこの法解釈の変更をめぐり、9日の参院予算委員会で飛び出しました。

 森法相は、法解釈変更の理由の一つに「社会情勢の変化」を挙げました。これに対し野党議員から、どのような変化があったのかと追及され、「例えば、東日本大震災の時、検察官は福島県いわき市から国民が、市民が避難していない中で、最初に逃げたわけです。その時に身柄拘束をしている十数人の方を理由なく釈放して逃げたわけです」と答えました。

 検察官の定年延長とはまったく無関係な、荒唐無稽の答弁に議場は騒然とします。予算委員長(自民党)からも「質問に的確、適切に答えるように」と注意されるありさまでした。

 森法相はさらに11日午前の衆院法務委で、この答弁内容は「事実だ」と答えます。しかし、野党議員から「これが事実であるという認識が安倍政権の見解か」とただされると、森法相は「『理由なく』と『逃げた』というところについては個人的見解だ」と主張したため紛糾し、審議が中断し、散会になりました。

 森法相は同日午後の参院予算委の冒頭、「個人の見解であることを事前に示すことなく、個人の見解を申し上げたことは不適当であり、撤回する」と述べました。これは、あらかじめ「個人的見解」だという断りなしに答弁をしたことが問題だったとするもので、「個人的見解」そのものを撤回したわけではありません。しかも、野党議員から午前の法務委で答弁内容は「事実だ」と答えていたことを指摘されると、「9日の参院予算委で指摘の答弁をしたということが事実だと申し上げた」と開き直り、審議は止まり、散会になりました。

 法務省はその後、森法相の「最初に逃げた」「理由なく釈放した」という答弁は「事実無根」だと野党に説明します。検察をおとしめる森法相の姿勢は大問題です。

 批判の広がりに対し、安倍首相は12日、森法相を官邸に呼んで「厳重注意」したものの、記者団の取材に対し「今後、より一層緊張感を持って職務を果たしてもらいたい」と続投させる考えを示しました。首相の任命責任が厳しく問われます。

根本的な反省なし

 森法相は13日の衆院法務委で「検察の活動について個人的評価を述べたことは不適切だった」と述べ、9日の参院予算委答弁を撤回すると改めて述べました。しかし、「個人的評価」自体を撤回するとは言いませんでした。

 森法相はこれまでも検察官の定年延長問題をめぐり問題答弁を繰り返してきました。大臣の資格がないのはもはや明らかです。


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