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2020年3月3日(火)

新型コロナに二転三転

定まらぬ政府方針

 新型コロナウイルス感染症対策として安倍晋三首相が突然、全国小中高校・特別支援学校の一律休校を要請したことで、教育現場や保護者には不安と混乱が広がっています。首相は「私の責任において万全の対応を取る」と主張しますが、二転三転する政府方針からはどんな責任をどうとるのか見えてきません。


 もともと政府が2月25日に発表した新型コロナウイルス感染症対策の基本方針では、学校の臨時休校については地方自治体などの判断に委ねています。しかし、同27日に安倍首相が全国一律の臨時休校を要請すると発表。基本方針を一転させました。

 学校の休業の決定権限は、地方自治体などの設置者にあります。首相の独断の要請に法的根拠はありませんが事実上の強制力があり、全国の教育現場を大混乱に陥れました。批判が噴出する中、同28日には萩生田光一文部科学相が、休校について地方の判断を尊重する考えを示し、事実上「一律休校」を撤回しました。

 ところが、同29日の会見で安倍首相は一律休校をくりかえし、1日のNHK「日曜討論」で自民党の世耕弘成参院幹事長は「非常に意義のある会見だった」と首相を礼賛しました。

 2日に開かれた参院予算委員会で、立憲民主党の蓮舫議員が安倍首相に「政府が決めたことを総理がひっくり返す」と批判したのに対し、安倍首相は「政府として決めたことを私がひっくり返しているわけではない」と開き直りました。

 安倍首相は2月29日の記者会見でも、感染者が出ていない地域も含めなぜ全国一律の休校なのか、科学的根拠や具体的な支援策は示しませんでした。首相は専門家会議に意見も聞いていないのです。「独断」の危険性を示しています。

 いま必要なことは、科学的な感染症対策と、財源を伴う医療・検査体制の抜本的強化、休業補償、経済対策を総合的に国が示すことです。

二転三転する政府の方針

2月25日 「学校等における感染対策の方針の提示及び学校等の臨時休業等の適切な実施に関して都道府県等から設置者等に要請する」(政府の新型コロナウイルス感染症対策の基本方針)

27日 「全国すべての小学校、中学校、高校、特別支援学校に、3月2日から春休みまで臨時休校を行うよう要請する」(安倍晋三首相)

28日 「臨時休校を実施する期間や形態については、地域や学校の実情を踏まえて設置者においてさまざまな工夫があって良いと考えております」(萩生田光一文部科学相)

29日 「全国すべての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週月曜日から春休みに入るまで臨時休業を行うよう要請致しました」(安倍晋三首相)


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