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2020年3月1日(日)

「一律休校」説明会見

首相、国民の批判に開き直り

自治体の判断 サポートを

 新型コロナウイルス感染症対策として27日夜に唐突に安倍晋三首相の口から出てきた全国一律の臨時休校要請―。国民生活を混乱に陥れた発表から2日後の29日の記者会見で安倍首相は、一律休校の科学的根拠は一言も語らず、「暮らしに直結する決断には当然批判が伴う」と開き直り、無反省な態度に終始しました。

頭越し要請

 混乱の最大の要因は、臨時休校の要請が学校の設置者(自治体や学校法人)の頭越しにされたことです。

 学校保健安全法は、臨時休校は設置者の責任で行うと明確に規定。感染症の広がりや家庭の事情は地域ごとに異なるからです。感染者が一部の都道府県にとどまるもとでの全国一律の臨時休校には、専門家からも有効性を疑問視する声があがっています。

 文部科学省も25日の通達では、感染者や濃厚接触者が児童・生徒に出たときの臨時休校の判断や、休校の期間や規模(学級閉鎖か学校閉鎖か)は、設置者が都道府県などと相談して決めることとしていました。この時も感染急拡大の危険を前提に、一律休校とはしていませんでした。

説明後回し

 安倍首相は、社会に多大な影響を与える決定をしたのに、国民への説明や休校に向けた手だての発表は後回し。学習塾にまで自粛を要請しながら、保育園や学童保育には開所を求めるちぐはぐぶりにも批判が集まっています。

 国の検査体制が貧弱で、自治体などは情報のないもとで休校の判断を迫られ、子どもや保護者に対応しなければならない状況に置かれています。

 安倍首相は会見で、社会に混乱をもたらした反省も語らず、保育園や学童に開所を求める理由も一切説明しませんでした。

 要請を受け多くの自治体は走りだしています。主要都市が対象の「読売」調査(29日付)によれば6割の自治体が2日から休校に入るといいます。対策を自治体任せにせず、国として自治体の判断をサポートする体制の構築が急務です。

 なかでも急がれるのがひとり親家庭をはじめ、経済的に苦しい家庭の子どもたちへの支援です。夏休みなど給食のない長期休暇明けに、痩せて学校に戻ってくる子どもが、全国的に社会問題になっています。今回の臨時休校で登校しない期間が1カ月を超える自治体も出てきています。全国の「子ども食堂」でも自粛の動きが広がっています。臨時休校で子どもの健康が損なわれるなど、あまりに本末転倒です。

資格はなし

 安倍首相は会見で「株価下落のインパクトに見合うだけの経済・財政政策をとる」と表明する一方、休校で影響を受ける子どもへの言及はごくわずか。「子どもたちの健康・安全が第一」といいながら、視線の先をどこに向けているのか。首相の資格がないことが改めて浮き彫りになっています。

 (佐久間亮)


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