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2020年3月1日(日)

主張

予算案の衆院通過

国民の痛み顧みる姿勢がない

 安倍晋三政権が編成した一般会計総額で102兆円を超す2020年度予算案が衆院本会議で、自民・公明などの賛成多数で可決され、衆院を通過しました。新型コロナウイルスの感染拡大の対策費は一切盛り込まれず、大軍拡と社会保障切り捨てが際立つ予算案です。昨年10月に消費税率を10%に引き上げた後、日本経済は新たな消費不況の様相を示しているのに、暮らしを守る姿勢がありません。国民の不信が高まる「桜を見る会」疑惑などの説明に背を向け、問題だらけの予算案を押し通した安倍政権の責任は重大です。

「逆立ち」した財政運営

 国民の切実な願いに向き合わない姿勢は、新型コロナウイルス感染対策だけではありません。苦境に立つ国民生活を支えるという立場が決定的に欠けています。

 日本でも世界でも経済情勢は深刻化しています。世界的には、米中貿易摩擦による先行き不安の広がりに加え、新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に脅かされています。サウジアラビアのリヤドで開かれた20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議は「世界経済の成長は鈍いまま」であり、貿易をめぐる緊張や新型コロナウイルスの流行を含む「グローバルなリスク監視を強化」し、「さらなる行動をとる用意がある」とする声明を23日発表しました。日本では新型コロナウイルス感染拡大が経済を冷え込ませ、廃業する旅館も出ています。日本も世界も大幅株安が続いています。

 もともと日本経済の危機を深めたのは消費税の10%への増税です。増税後の昨年10~12月期の国内総生産(GDP)は前期(7~9月期)に比べ1・6%も低下しました。個人消費も企業の設備投資も住宅投資も輸出もすべて落ち込んでいます。増税がもたらした経済の悪化は隠しようがありません。

 本来財政の役割は、国民の税金を使って景気を調整し、所得を再分配することです。新たな消費不況が鮮明になっている今こそ暮らし応援を最優先すべきです。ところが20年度予算案は、軍事費では米国製高額兵器の大量購入など過去最大の5兆3千億円に拡大する一方、社会保障費は高齢化にともなう「自然増」を約1200億円カットするなど冷たい中身です。

 安倍首相の政権復帰後の13年度予算から20年度予算案までの社会保障費の「自然増」カットは1兆8300億円にも上ります。さらに20年度も年金給付の抑制などで暮らしを痛めつけようとしています。一方、大企業向けの税負担は軽減し、大型公共事業も拡大します。国民には顔を向けず、軍拡と大企業応援を鮮明にした「逆立ち」した予算案という他ありません。

いまこそ暮らし応援を

 日本共産党などの野党は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、20年度予算案の組み替え案を共同提出しました。マイナンバーポイント還元事業、カジノ管理委員会の運営費を削除し、感染拡大に必要な費用を確保する内容です。これに応じなかった安倍政権の姿勢が問われます。

 消費税増税の打撃に加え、新型コロナウイルスの影響が経済に追い打ちをかける中、暮らし応援の経済・財政政策に抜本的に転換することが必要です。消費税の税率を緊急に5%へ戻すなど安倍政権の失政を改めることが急務です。


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