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2020年2月21日(金)

日本郵政 正規と非正規こんなに違う

集団訴訟で賠償求める

 日本郵政の期間雇用社員ら154人が、夏期・年末手当などで正社員との間にある待遇格差は違法だとして全国7地裁に提訴した集団訴訟。計約2億5000万円に上る損害賠償請求額の具体的な内容とは―。

 労働者が、労働契約法20条に違反する正規か非正規かによる不合理な格差だと訴えているのは、(1)住居手当(2)年末年始勤務手当(3)夏期冬期休暇(4)祝日給(5)病気休暇(6)扶養手当(7)寒冷地手当(8)夏期・年末手当です。(表)

●住居手当

 正社員に最高で2万7000円を支給。期間雇用社員には全く支給されません。東京高裁は、両者とも転居を伴う配置転換はなく、住宅に要する費用は同程度だとして不合理な格差だと断じました。

●年末年始勤務手当

 正社員に12月29~31日4000円、1月1~3日5000円を支給し、期間雇用社員はありません。東京高裁は、勤務内容にかかわらず一律に支給されるもので不合理な格差と判断しました。

●夏期冬期休暇

 正社員は各3日間あるのに期間雇用社員はゼロ。正社員と同じシフトに組み込みながら付与しないのは不合理で、福岡高裁も職務内容の違いは理由にならないとしました。

●祝日給

 正社員は所定賃金と別に135%支給。期間雇用社員は35%の割増賃金だけです。祝日給は過重性の対価であり、職務内容や配置変更の有無は無関係であるとして、正社員と同額の支払いを求めています。

●病気休暇

 正社員は有給で90日、勤続10年以上は180日。期間雇用社員は無給で10日間のみです。

 東京高裁は、10日以内を限度に与えないことは不合理だとしました。労働者は、長期雇用を前提として採用されることに変わりはないとして、10日に限らず実際に休んだ日数の賠償を求めています。

●扶養手当

 正社員は配偶者1万2000円、22歳以下の子1人につき3100円、60歳以上の父母1500円など。期間雇用社員はありません。

 職務内容の違いによって必要性が左右されるものではないとして不合理な差別にあたると主張しています。

●寒冷地手当

 盛岡市では最大1万7800円が支給されますが、期間雇用社員には支給されません。寒冷地勤務が支給要件であり、職務内容には関連性がないと指摘しています。

●夏期・年末手当

 正社員は、基本給と在職期間に応じた割合をかけた基礎賃金に、労使交渉の妥結率をかけた金額を支給。期間雇用社員は基本給を一律70%カットし、1~2倍の割合をかけて支給されます。

 ある原告の昨年末手当は、約14万3000円。正社員と同様に計算すると約56万9000円。差は約42万6000円にもなります。

 同手当は、月例賃金と同じく生活に不可欠な賃金として組み込まれており、期間社員に極端な格差をつける合理的理由はないと主張しています。

図

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