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2020年2月6日(木)

解説

トランプ政権の核強化が本格化

日本にも影響必至

 米国防総省は4日、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に、低出力の新型核弾頭W76―2を搭載したと発表しました。全米科学者連盟(FAS)によれば、W76―2は昨年、すでにオハイオ級戦略原潜テネシーに配備され、同艦は昨年末に出港。大西洋で任務についています。

 こうした動きは、核兵器禁止条約の成立など、「核兵器のない世界」に向けた流れに逆行するものであり、日本の安全保障環境にも重大な影響を与えます。動向を注視する必要があります。

 新型核弾頭の配備は、トランプ米政権が2018年2月に打ち出した新たな「核態勢の見直し」(NPR)に基づくもの。核兵器の役割を縮小させることを目指したオバマ前政権のNPRを大転換し、核兵器の役割を大幅に拡大しました。

 その柱は、核弾頭を「小型化」し、「使いやすく」することにあります。戦略原潜へのW76―2配備もその一環です。核搭載可能な米戦略原潜(SSBN)は14隻あり、うち8隻は太平洋に配備されています。現在までにSSBNの日本寄港はありませんが、新NPRはロシアや中国を念頭に置いており、今回の動きは北東アジアでの核軍拡を助長することになります。

 加えて、米国防総省はF35ステルス戦闘機の、新型核弾頭B61―12が搭載可能な「ブロック4」への移行に着手しました。B61―12は出力が低く抑えられているものの、命中精度が大幅に向上しており、結果として破壊力が増しているとされています。新NPRでは核・非核両用の戦闘機や爆撃機(DCA)について、「必要なら北東アジアに配備できる」と明記。F35Aはすでに17年秋から約半年、米空軍嘉手納基地(沖縄県)に暫定配備されています。

 さらに、ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄に伴い、米政府は日本を含むアジア地域への新たな中距離弾道ミサイル配備を検討しています。トランプ政権による陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の押し付けも、こうした新たな核戦略の一環といえます。米国の「核抑止」依存政治が続けば、日本は再び、米国の核戦略拠点にされかねません。(竹下岳)


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