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2020年2月1日(土)

論戦ハイライト

参院予算委 大門議員の質問

カジノ 今なら後戻りができる

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(写真)質問する大門実紀史議員=31日、参院予算委

 「いまならまだ後戻りができる。カジノはきっぱりやめるべきだ」―31日の参院予算委員会。日本共産党の大門実紀史議員は、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職で浮かび上がった海外カジノ企業と政治家の腐食の構図をあげ、安倍晋三首相に迫りました。

任命責任重い

 カジノ汚職で逮捕された秋元司元内閣府副大臣(カジノ担当)が中国企業から最初に受け取った賄賂200万円は、2017年8月4日に沖縄県那覇市で中国企業が主催したシンポジウムでの講演料が名目でした。

 講演では、秋元容疑者が沖縄の経済界の人たちに「カジノ誘致に手をあげてほしい」と呼びかけ、中国企業のCEOが「その際はうちをよろしく」と売り込みました。

 大門 現職のIR担当副大臣が200万円もらってカジノ事業者と一緒にカジノを売り込みにいった。こんなとんでもない人をなぜ任命したのか。

 安倍首相 それぞれの専門性や総合的に勘案した。

 委員会室から失笑が起こるなか、大門氏は「任命責任をもっと重く受け止めるべきだ」と求めました。

文科相に資金

 海外カジノ企業から政治家への資金提供が表面化するのはこれが最初ではありません。

 2018年7月にカジノ議連(国際観光産業振興議員連盟)所属議員15人に、米カジノ大手「シーザーズ・エンターテインメント」日本側アドバイザーから152万円がパーティー券購入の形で脱法的に献金されたと報じられました。

 当時、国会での大門氏の追及に官房副長官だった西村康稔経済財政担当相は事実関係を認めました。

 萩生田光一文科相は当時の「しんぶん赤旗」の取材に「(購入額が)6万円というのは正しくない」「適正に処理して、収支を報告している」と答えました。

 大門 パーティー券を購入してもらったか。

 萩生田 その日本企業がパーティー券を購入したのは事実だが、当時IRに関係しているという認識はなかった。

 大門氏は、多くの海外カジノ企業が日本参入へしのぎを削るなか、シーザーズだけが献金したとは思えないとして、萩生田、西村両大臣に海外カジノ関係者からの資金提供がなかったか報告するよう予算委員会として求めることを要求しました。

もうけが優先

 カジノ議連の事務局長として各地のカジノ推進派集会で講演してきた萩生田文科相。なかでも、昨年8月に大阪で行った講演は、海外カジノ事業者の要求に忠実に国の制度をつくると表明した、極めて大きな問題を持つものでした。

 国内のカジノ施設の事業期間(区域整備計画の認定期間)は初回が10年、以後5年ごとの更新で、そのたびに議会の議決を要することになっています。

 大門氏は「更新時も住民の意思を尊重しなければならないという趣旨か」とただし、カジノ担当の赤羽一嘉国交相は「その通り」と答えました。

 この規定は、海外カジノ企業からみれば、カジノに反対する首長や議会が現れて更新できなくなるのではないかというリスクと受け止められていました。

 萩生田氏は講演で、自治体とカジノ企業が結ぶ「実施協定」は認定期間を超える30年間程度でむすぶことができ、「市長や議会の構成が変わって『やっぱりあんたたち出て行ってくれ』といっても訴訟になる」と述べ、ばく大な損害賠償が請求される恐れがあるため自治体側から撤退を言い出すことはできないと述べていました。

 大門 こういう発言をしたのは間違いないか。

 萩生田 長期間の安定した事業が前提で、事業者が実施協定に違反していないのに自治体が更新しないと判断する場合には訴訟リスクが生じると発言した。

 大門氏は「住民の意思よりも事業者のもうけを優先した発言だ」と強調。その後、国が発表したカジノ「基本方針」案にはその通りの内容が盛り込まれていることをあげ、「カジノをいやだという方は、いま止めないと30数年間止められなくなる。いま止めよう」と呼びかけました。

■「日経IRフォーラム」(2019年8月8日・大阪市)での萩生田光一・自民党幹事長代行(当時)の講演から抜粋

 「私は超党派のIRの議連の事務局長など務め、議員立法の自民党の責任者だ。この15年間、まさにIR実現のために党のなかで仕事をしてきた」

 「今日お見えの海外の投資家や企業の方々にとって、IR区域の認定に最初に10年間の許可を与え、5年間ごとに更新の手続きをする制度が大きなリスクになっていることは承知している」

 「あえてこの場で申し上げるが、基本方針をつくる中で解説をきちんと入れさせる。10年たったときに、知事や市長や議会の構成がかわって『やっぱりあんたたち出て行ってくれ』といっても訴訟になる」

 「10年たったときに事業をやめろということはできないようになっている。これを次の基本計画を発表するときにご理解いただけるようにするので、みなさん安心して準備をしていただきたい」

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