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2020年1月31日(金)

欧州議会 英離脱協定を承認

“気候変動など今後も協力を”

 【ローマ=伊藤寿庸】欧州議会は29日、ブリュッセルで全体会議を開き、英国の欧州連合(EU)離脱協定を賛成621、反対49、棄権13で可決しました。離脱協定はすでに英議会で承認されており、30日に欧州理事会での可決を経て発効します。


 フォンデアライエン欧州委員長は、英国出身の歴代の欧州正副委員長などの貢献に感謝しつつ、気候変動や安全保障での今後の協力を呼びかけ。自由貿易協定の交渉では、「対等な競争条件が前提」であり、「欧州企業を不公正な競争にさらさない」と強調しました。

 討論では、英国と欧州の歴史的関係を振り返り、今後も緊密な結びつきが続くとする発言が相次ぎました。

 欧州議会の英離脱委員会のフェルホフスタット委員長は、「2度の世界大戦で血を流して欧州を解放してくれた」と英国をたたえつつ、「秩序あるEU離脱」のために協定を支持するしかないと苦渋をにじませました。

 英保守党の議員は、父がノルマンディー上陸作戦に参加したと涙ながらに語り、「私たちはみな欧州人だ」とEU離脱を惜しみました。

 「英国の離脱はEUへの警鐘だ」と述べたのは、欧州統一左翼・北欧緑左翼(GUE・NGL)会派のシルデワン共同議員団長。EUが「緊縮政策に固執し、企業の利益を市民の利益より優先する」政策を転換しない限り、「英国に続く国が出る」と警告しました。

 他方、EU離脱派の急先鋒(せんぽう)だった英国のブレグジット党のファラージ党首は、「EUは選挙で選ばれていない無責任な権力だ」など非難を繰り返しました。

 協定の採決後に、議場はスコットランド民謡「オールドラングザイン」(「蛍の光」の原曲)の歌声が響き、英国選出の議員との別れを惜しみました。EU離脱に伴い、英国選出の73議席は、27議席が14カ国に分配され、定数が751から705に変わることが決まっています。

 英国外務省は29日、ラーブ外相が離脱協定の批准書に署名したと発表。批准書はEU理事会に寄託され、英側の離脱に向けた手続きが完了しました。


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