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2020年1月21日(火)

“想像絶する経済格差”

億万長者2153人>世界6割46億人

国際団体が報告書 優遇税制など原因

 国際援助団体オックスファムは20日、2019年時点で世界の2153人の億万長者が持つ富は、世界人口の6割にあたる46億人が持つ富の合計よりも大きいとする報告書を発表しました。経済格差が広がる原因として、富裕層や大企業向けの優遇税制などとともに、ジェンダーの不平等があると指摘し、それらを是正することが必要だと強調しています。

 報告書は、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が21日、スイス東部ダボスで開幕するのに先立って発表されました。

 報告書は「超富裕層とその他の人々の格差は想像を絶する規模になっている」として別項のような実態を紹介しました。一握りの富裕層がいる一方で、世界人口の約半分は1日5・50ドル(約606円)以下で生活しています。

▼2153人の億万長者が持つ富は、その他の46億人が持つ富の合計よりも大きい。

▼世界で最も裕福な1%の人たちは、その他の69億人が持つ富の合計の2倍以上の富を持っている。

▼世界で最も裕福な22人の男性の富の合計は、アフリカのすべての女性が持つ富よりも大きい。

▼最も裕福な1%の人たちの富に今後10年間で0.5%追加課税するだけで、教育、医療、高齢者介護などの分野で1億1700万人の雇用を創設するのに必要な投資額と同じになる。

 《オックスファム報告書から》

経済格差の要因 徴税破綻招く税逃れ

ジェンダー不平等も

 国際援助団体オックスファムが20日に発表した報告書は、世界で経済格差が広がる一因として「税率の引き下げと意図的な税逃れによって超富裕層と巨大企業からの徴税が破綻していること」を指摘しています。超富裕層は、本来支払うべき税額のうち、3割にあたる額を逃れていると批判しています。

 報告書はまた「経済的不平等はジェンダーの不平等によってもつくられている」と強調。低賃金で不安定な雇用や、家事・育児・介護など賃金不払いあるいは異常に低賃金の労働が不釣り合いに女性に押し付けられている問題を指摘しました。

 世界全体では、労働年齢の女性の42%が、介護などの責任を負わされて仕事に就けていません。この割合は男性では6%にすぎません。

 報告書は「各国政府は1%ではなく99%の国民の利益になる経済をつくらなければならない」と強調。▽富裕層・高額所得者・大企業への課税強化、税逃れ対策▽低賃金や無権利が横行している介護などの労働者の保護▽性別に基づく仕事の分担という思い込みを広報や法律を通じて克服▽有給休暇の取得促進―などを求めました。

 オックスファム・インドの最高経営責任者(CEO)を務めるアミタブ・ベハール氏は同日、「破綻した経済は一般の国民を犠牲にすることで億万長者や大企業の財布をいっぱいにしている」と告発。特に「今日の経済システムでは女性がもっとも少ない利益を得る形になっている」と述べました。

 同氏は、各国政府が富裕層や大企業向けに減税する一方で、公共サービスの切り捨てを進めているとし、「不平等の危機を作り出してきたのは政府だ」と批判。「各国政府は今こそそれを終わらせるために行動しなければならない」と語りました。


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