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2020年1月14日(火)

きょうの潮流

 「2020年オリンピック・パラリンピックに向けてより高い水準のバリアフリー化を推進してまいります」(国土交通省)の宣伝文句がむなしく響きます。11日未明、東京・JR日暮里駅で、視覚障害者がホームから転落、京浜東北線の電車にはねられ亡くなりました▼「日暮里駅は、都内の駅の中で最も歩きにくい駅の一つ」。視覚障害があり、駅ホームの点検を精力的にすすめる山城完治さんは悔しげに語ります▼東京視覚障害者協議会によると、この25年間で、駅ホームから転落した視覚障害者の重傷死亡事故は少なくとも69件。9年前、山手線目白駅で転落死した武井視良(みよし)さんの事故後、国土交通省はホームドア整備の音頭を取ってきました。が、この間転落死事故はほぼ倍増に▼視覚障害者の2人に1人は駅ホームからの転落を経験。全盲の場合は、3人に2人。仕事などで毎日駅を利用する人の場合、9割もの人が経験しているという衝撃の調査結果が。視覚障害者の間では「ホームから落ちてはじめて一人前の視覚障害者になれる」との、笑えないブラックジョークも▼日暮里駅のホームは、片側に京浜東北線が、反対側に山手線が並走。山手線側だけにホームドアを設置していました。「ホームの片側だけは危険。両側に設置を」。山城さんらが要望していたことです▼JR東日本が正面から受け止め実行していれば防げた事故でした。「欄干のない橋」と呼ばれる駅ホームの解消を一日も早く―。視覚障害者の切なるねがいです。


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