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2019年11月26日(火)

香港 歴史的勝利に大歓声

市民「たたかい続く」

区議選 記録的な高投票率

 【香港=釘丸晶】全18区で452議席を争った区議選は、抗議行動に参加してきた多くの民主派議員を誕生させた歴史的な勝利となりました。抗議行動を暴力で抑えつける香港政府に対する住民投票と受け止められ、記録的な高投票率で「ノー」を突き付けました。


 25日、九龍地区尖沙咀で、市民の声を聞きました。昼食のため食堂の開店を待っていた男性(27)は、「親中派の支持者は逃亡犯条例改定に多くの人が反対していることを信じていなかったようだが、今回の結果はそれを示した」と述べました。

 同僚の女性(27)は、「良い結果が出たと思う」と述べながら、「まだ努力が必要です」と控えめ。「来年の立法会(議会)選挙が大切です」と話しました。

 新界地区沙田区で当選した民主派団体「民間人権陣線(民陣)」代表の岑子傑(しん・しけつ)さんに投票したというペギー・イップさん(38)は「小さな勝利で、完全には喜べない。この間の運動で若者の犠牲者も出ている」と表情を曇らせました。

 ペギーさんの友人のエリカさん(47)は「結果は良かったが、親中派の支持もまだ高い。当選した民主派候補には若者も多いので、地域のサービスをより良くしてほしい」と民主派への期待を語りました。

 数々の抗議行動が行われてきた九龍地区佐敦南選挙区では、民主派の新人、陳梓維(ちん・しい)氏が当選しました。同氏は本紙に「地域住民の意見をよく聞きバランスを取りながら活動したい」と述べ、逮捕したデモ参加者を警察が殴りつけた8月31日の地下鉄太子駅の事件について独立調査委員会の設置に意欲を見せました。

 今回の選挙で、唯一出馬が認められなかった民主派の黄之鋒(こう・しほう)氏が、出馬予定だった香港島の南区海怡西選挙区では、同氏の“後釜”となった林浩波氏が、親中派の現職を破って勝利。政治的立場を理由に出馬を認めなかった香港政府に厳しい審判を突き付けました。

 親中派の現職の立法会議員は次々と落選しました。白シャツを着たヤクザによる市民への襲撃事件(7月)でヤクザ側を擁護したと批判されてきた何君堯(か・くんぎょう)氏の落選が決まると、開票所の周りに集まっていた市民が大歓声を上げました。

 過去の選挙で8割の得票で当選してきた親中派「民建連」の主席は、民主派の元立法会議員・梁国雄(りょう・こくゆう)氏に得票55%、343票差まで迫られ、苦戦を強いられました。

香港行政長官「耳を傾ける」

 香港の林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は24日実施の区議選の結果を受け、25日に声明を発表し「市民の声に真摯(しんし)に耳を傾ける」と述べました。

 林鄭長官は、「政府は選挙結果を受け入れる」と表明。結果については「さまざまな分析や解釈が行われているが、現在の情勢への市民の不満、社会の根深い問題の反映だという見方はかなりの数だ」と認め、「政府は市民の声に真摯に耳を傾け、重く受け止める」と表明しました。


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