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2019年11月21日(木)

消費税減税懇談会

志位委員長が報告

写真

(写真)報告する志位和夫委員長=20日、国会内

 日本共産党の志位和夫委員長は20日に開かれた消費税各界懇談会で、消費税10%増税強行にあたって党が発表した「消費税減税・廃止を求める、新たなたたかいをよびかけます」の中心点について、最新の情勢も踏まえて報告しました。

10%消費増税で日本経済は新たな消費不況に

 志位氏は冒頭、「消費税10%増税の影響がさまざまな形で表れている」として、相次ぐ景気落ち込みを示す経済指標を紹介しました。

 このなかで、10月の新車販売が前年同月比24・9%減と「トヨタ1社分の販売台数減」となったことや、三越、大丸、阪急、高島屋の大手百貨店4社の10月売上高も軒並み20%前後減少していること、「ポイント還元」でも業者が大きな負担と被害を被っており、安倍晋三首相を追及した共産党の大門実紀史議員が「中小業者にとって何か一つでもいいことがあるか」と質問したことに安倍首相が一つもいいことを言えなかった(10月16日の参院予算委員会)と紹介。さらに民間の予測平均では10~12月期GDP(国内総生産)は年率1・7%減のマイナス成長になるとされていることもあげ、10%増税が「日本経済を新たな消費不況に落ち込ませつつある」と強調しました。

31年間の消費税の歴史がもたらした二つの問題

 そのうえで志位氏は31年間の消費税の歴史がもたらした問題を二つの角度から告発しました。

 一つ目は、消費税は一体何のための税金かということです。志位氏は、「社会保障のため」「財政再建のため」という政府の言い分がウソだということがすっかり明らかになったと指摘しました。

 志位氏は、この間、社会保障が切り下げにつぐ切り下げだったことを告発するとともに、消費税導入が、1990年代に「公共投資へのバラマキ」、2000年代は「大企業・富裕層へのバラマキ」という放漫財政の原因となり「財政のモラルハザードがつくられ、国と地方の借金は4倍にもなった」と強調。「庶民から吸い上げて、大企業・富裕層に貢ぐシステムが消費税だということが31年間で明らかになった」と力説しました。

 そもそも経団連・政府が最初に消費税導入の理由としたのが直接税から間接税に置き換える「直間比率の見直し」だったと告発。「31年間に起こったことは財界のシナリオを忠実に実行に移したということだ」と語りました。

 二つ目は、消費税が日本経済に何をもたらしたのかという問題です。志位氏は家計消費支出を長期でみると「1992年をピークに昨年までの26年間に年額48万円も家計消費が減少した」と述べ、二つの原因を指摘しました。

 第一の原因は消費税の増税です。2回の増税で二十数万円ずつ減った計算になり、「2回の増税は、弱々しいながら回復していた景気の芽をつみ、どん底に突き落とした」と述べました。

 第二の原因は、労働法制の規制緩和です。95年の日経連「新時代の日本的経営」を契機に非正規雇用の置き換えが進み、95年に2割だった非正規が4割近くまで広がりました。

 志位氏は「この二つの原因が相乗作用し、悪循環をつくり出した」と指摘。消費税増税で内需が冷え込む→大企業が外需頼み→非正規への置き換えなどリストラによる実質賃金の減少→さらに内需が冷え込むという悪循環におちいっていることを告発しました。

 その結果、「日本は世界でも異常な『経済成長ができない国』になってしまった」と述べ、「消費税という悪税を廃止することを大目標にすえ、応能負担の原則にもとづいた税制の民主的改革にとりくむことを訴えたい」と語りました。

「消費税5%への減税」は希望とインパクトあるメッセージ

 そのうえで志位氏は緊急の課題として「消費税5%への減税」を実行することを提案しました。そもそも8%への増税が経済失政だったこと、「失政が明らかならば、元に戻す」と指摘し、日本経済の健全な成長を実現するため、「インパクトのあるメッセージの発信が不可欠です」と意義を力説。「消費税減税に向けて野党共闘を発展させることが大切です」と述べ、「5%への減税」が野党の共通政策となるように力を尽くしたいと表明しました。

 同時に、志位氏は「5%への減税」だけで暮らしの困難が解決するわけではないと述べ、「それと一体に、暮らしをめぐる困難と矛盾の一番の焦点で、暮らし応援の政策を効果的に実施する」ことの重要性を強調し、全国の最低賃金でただちに時給1000円、1500円を目指すなど「暮らしに希望を―三つのプラン」を示し、「どれも国民が切実に求めている緊急・焦眉の課題です」と強調しました。

税金私物化の一方で増税押し付けは許されない

 志位氏は財源について、「消費税5%への減税」と「暮らし応援の政策」のために必要な約16兆円は、持てる者から税金を取り、無駄遣いをやめ、暮らし応援で日本経済を成長軌道に乗せ税収増をはかるという「三つを組み合わせれば、消費税に頼らなくても立派にやっていける」と指摘。大企業・富裕層優遇税制を見直し、軍事費など無駄の削減で14兆~16兆円の財源を生み出し、さらに暮らし応援の政策で国民所得を増やし経済成長をはかることで税収を数兆~10兆円規模で増やすことが可能になると強調しました。

 志位氏は税金私物化の安倍首相主催の「桜を見る会」問題について、同日の衆院内閣委員会で首相の推薦枠が1000人だった事実などが明らかとなり、「これまでの答弁が虚偽答弁だった」と批判。野党が結束して追及していくと表明し、「税金を私物化しながら増税を押し付けるなど、言語道断。共闘の力で徹底的に追及していきます」と力を込めました。


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