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2019年11月20日(水)

日米貿易協定承認案に対する田村議員の反対討論(要旨)

衆院本会議

 日本共産党の田村貴昭議員が19日の衆院本会議で行った日米貿易協定承認案に対する反対討論(要旨)は以下の通りです。


写真

(写真)反対討論する田村貴昭議員=19日、衆院本会議

 日米貿易協定は、5カ月という前代未聞のスピードで、交渉内容も経過も国会や国民に一切秘匿したまま合意されたものであり、既に発効しているTPP11、日欧EPAに加えて日本側の関税、非関税措置を縮小させ、農産物の市場開放、自由化を一層もたらすものです。しかも政府は、野党が求めた審議の前提となる資料の提出を拒み続け、国会軽視、国民無視の姿勢を露骨に示してきました。

 安倍晋三首相は、日米双方にとって「ウィンウィン」と誇りますが、実態は、日本が「72億ドル分の米国産農産物の関税を撤廃・削減する」ことを認める一方、米国は日本製自動車や同部品の関税撤廃を見送りました。日本の一方的な譲歩であることは明白です。特に、譲許表に自動車関連の関税撤廃を明記したとウソの説明をしてまで国民と国会をあざむこうとしていたことは極めて重大です。

 政府は「TPPの範囲内」に収まったと主張していますが、TPPはもともと輸出大国や多国籍企業の利益を最優先し、際限のない市場開放を推進するもので、TPP水準でも大問題です。

 本協定は、米国産牛肉の関税率をすぐにTPP参加国と同じ税率まで引き下げます。加えて、その税率での輸入枠をTPPとは別に設けました。しかも、輸入量がそれを超えると、即座に低関税輸入枠自体を拡大するための協議をする規定まで盛り込まれています。米国を特別扱いする「TPP超え」は明らかです。

 政府は本協定の発効で「実質GDPを約0・8%押し上げる」としていますが、この試算は継続協議となった日本製自動車や同部品の対米輸出関税の撤廃を見込んだ架空の計算です。そうした試算でも国内農産物の生産額が最大1100億円減少すると見込まれています。本協定が離農を加速させ、食料自給率の低下は必至です。

 日米共同声明は、本協定の発効後、「関税や他の貿易上の制約、サービス貿易や投資に係る障壁」などで「交渉を開始する」としており、文字通り日米FTAにつながるものです。日米デジタル貿易協定は、独占的利益を追求する米国のIT企業を保護する協定にほかなりません。

 食料主権、経済主権を破壊する両協定の国会承認は、断じて認められません。日米FTA交渉は直ちに中止すべきです。


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