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2019年11月19日(火)

きょうの潮流

 にこにこ笑いながら肩や背をぽんとたたき、親しみを表す。相手を説得するときに見せるしぐさから、その人物は「ニコポン宰相」と呼ばれました▼柔和で如才のない調子。同じ長州の先輩、伊藤博文からは「十六方美人」といわれ、「サーベルを下げた幇間(ほうかん)」「言葉の催眠術師」とも。口が巧みで相手の懐にとびこむイメージか。歴代で最も長く首相の座にいた桂太郎です▼明治の後期から大正の初めまで3度組閣。在任期間は2886日、およそ8年に及びます。軍人として身を立て、首相時には日露戦争や韓国併合、大逆事件による言論や社会運動への弾圧と内外で強権をふるいました▼晩年、桂は護憲運動の高まりから新党を立ち上げます。しかし、それは徳富蘇峰がいう「内において皇室中心主義、外に向かって帝国主義の、いわゆる国民的政党」であり、自党が永久に政権を担当するために構想されたものでした(千葉功著『桂太郎』)▼あす安倍首相の在任期間が桂を抜き、史上最長となります。第1次政権から彼がこれまでやってきたことは周知の通り。平和と民主主義を土台にしてきた戦後の歩みを逆戻りさせ、私たちの生活に暗い影を落としています▼いくら長く任にあっても桂は国民から人気がなかったといいます。それは、現在も。歴史はすすみ、いまの日本には国民主権の憲法があり、自分たちの手で政治は変えられます。のちの時代、あの不幸なときがあったからこそ、新しい希望ある政治につながったと思えるように。


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