しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年11月8日(金)

主張

首相の任命責任

“口先”だけで反省が全くない

 菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相の辞任や、英語民間試験導入をめぐる萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言などを受けた衆院予算委員会の集中審議が行われました。主要閣僚が相次いで辞任したことについて安倍晋三首相は、口先では自分の「任命責任」を認めるとはいうものの、菅原氏、河井氏を閣僚に起用した判断の誤りは認めません。両氏に国会で説明責任を果たさせようともしません。2012年末に第2次安倍政権が発足してからの閣僚の辞任が10人に上るなかで、首相がいくら口先で「任命責任」を繰り返しても、国民は全く信用しません。

内閣総辞職に値する

 9月初めの内閣改造からわずか2カ月足らずで、経済産業相と法相という2人の主要閣僚が辞任したのは、内閣総辞職に値する異常事態です。しかも菅原氏も河井氏も国会議員の資格に関わる公職選挙法違反の「政治とカネ」の疑惑をめぐる辞任です。その疑惑が報道され、その問題が取り上げられる予定だった国会の委員会の直前に辞任し、その後も説明責任を果たしていません。安倍首相が閣僚に任命した責任を認めるなら、まず菅原氏や河井氏を国会の委員会などに出席させ、疑惑について説明させるべきです。

 選挙区内の支持者に公設秘書が香典を届けたなどの疑いが指摘された菅原氏も、参院選に出馬した妻の選挙の「ウグイス嬢」(車上運動員)に規定を上回る日給を支払ったなどの疑いがある河井氏も、安倍首相や菅義偉官房長官らの側近として、今回首相が初入閣させた人物です。しかも2人は入閣前から、地元での金品提供やパワハラが問題にされてきました。両氏を閣僚に起用した安倍首相の「任命責任」は重大です。

 安倍首相は6日の衆院予算委で「任命責任」について、「おわびする」などと言うだけで、菅原氏や河井氏を起用したのはあくまで「適材適所」だと居直りました。両氏が国会で疑惑を説明していないことを追及されても、首相は説明の責任はそれぞれの政治家にあると“ひとごと”のような答弁です。いくら「責任を痛感している」と言っても説得力はありません。

 安倍政権の下で「政治とカネ」の疑惑や暴言・失言で閣僚辞任が後を絶たないのは、安倍首相が自らに親しい“お友だち”ばかり登用している政権のおごりの表れです。首相自身が、自らや妻の関与が指摘された「森友」・「加計」疑惑の真相解明に背を向け、逃げ回っていることとも、無関係ではありません。安倍政権の一連の疑惑を徹底究明しつくすべきです。

もう政治は任せられぬ

 政権に関わる疑惑解明などは、国政調査権を持つ国会の重要な役割です。なかでも国政全般を審議できる衆参の予算委での集中審議はその大切な場です。安倍政権と与党はその集中審議を逃げ続け、今回衆院で開かれたのは何と約200日ぶりです。8日には参院予算委でも集中審議が開かれます。首相の政治姿勢が問われます。

 教育の機会均等を否定する「身の丈」発言が問題になった萩生田文科相の辞任についても、首相は拒否しました。問題だらけの大学共通テストの民間事業者への丸投げについても容認する姿勢です。反省がない政権には、もはや政治は任せられません。


pageup