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2019年11月3日(日)

きょうの潮流

 1本の映画をめぐって「市民(みんな)がつくる映画のお祭り」が大きく揺れました。今年で25回目を迎える「KAWASAKIしんゆり映画祭」です▼旧日本軍の「慰安婦」問題を扱ったドキュメンタリー映画「主戦場」の上映を、共催者である川崎市の“懸念”で中止。しかし是枝裕和監督ら映画関係者や市民の強い抗議で最終日の4日、一転上映へ。あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」と相似形をなすような出来事です▼映画「主戦場」は、「慰安婦」の存在そのものを否定する側、認める側双方の意見を両論併記しながら真相に迫るドキュメンタリー。4月20日に公開され全国50館以上の劇場で上映。いまも東京・シアター・イメージフォーラムで異例のロングランを続けています▼監督は日系人のミキ・デザキ氏。「日本における人種差別」に関する動画をネット上で配信したところ、日本のナショナリストから猛烈な攻撃を受けたことが「慰安婦」問題に興味を持ったきっかけでした。自らの疑問を解きほぐすように、約30人の日韓米の論客に直撃。論戦が進むほどに露呈するのは、右派「論客」の差別主義です▼上映中止をめぐって非難されるべきは、予算の半分近くを担う行政の介入でしょう。あいちトリエンナーレでは文化庁が補助金不交付を決定。助成制度を利用した新たな検閲に等しい▼きょうは日本国憲法公布の日。公権力の抑圧は市民の連帯ではねかえす。「表現の自由」を守るには不断の努力が必要と学びました。


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