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2019年11月2日(土)

主張

嘉手納降下訓練

政府の米国追従が強行許した

 米軍が10月29日夜、今年4回目となる米空軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)でのパラシュート降下訓練を強行しました。1996年に日米両政府が「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」最終報告で降下訓練を米海兵隊伊江島補助飛行場(同県伊江村)に移転すると合意して以降、嘉手納基地での年間実施回数は過去最多となりました。河野太郎防衛相は「SACO合意違反」と批判しました。しかし、これまで嘉手納基地での降下訓練を「例外」として追認してきたのは日本政府です。こうした屈辱的な追従姿勢が今回の異常事態を招いたのは明らかです。

「例外的」として追認

 29日夜の嘉手納基地での訓練は、部品落下事故を起こしたばかりのMC130J特殊作戦機の同型機が使われました。一方、伊江島補助飛行場でも29、30日と2日連続で降下訓練が実施され、両日とも米軍提供区域外の民間空港に兵士が落下する事故を起こしました。まさにやりたい放題です。

 沖縄での米軍の降下訓練は、かつては主に米海兵隊読谷補助飛行場(読谷村、2006年に返還)で行われていました。1965年にパラシュートで投下された米軍トレーラーの下敷きになって小学生の女児が圧死した痛ましい事故をはじめ、72年の日本復帰後も、民家や農地などへの落下、被害が後を絶たず、県は訓練の廃止を強く求めていました。

 95年に沖縄での米海兵隊員らによる少女暴行事件で県民の怒りが爆発したのを受け、日米両政府が設置したSACOは、米軍のパラシュート降下訓練について伊江島補助飛行場への移転を決めました。米軍基地負担の県内“たらい回し”でした。

 ところが、米軍は、合意にさえ反して嘉手納基地でも降下訓練を強行してきました。日本政府も2007年、嘉手納基地は「例外的な場合に限って使用される」との見解を公表し、容認します。

 河野防衛相が今回の嘉手納基地での降下訓練を批判した理由も「(米軍から)何が例外事由に当たるかという説明もなく行われた」という点です。嘉手納基地での訓練を「例外」として認める立場に変わりはありません。

 在日米軍司令部は、29日の訓練について「悪天候を含む例外的な場合に嘉手納基地を代替地として使用できる」という「2国間協定に完全に準拠して行われた」と居直る声明を発表しました。

 声明は、日米地位協定の実施に関する協議機関である日米合同委員会は、「例外的な場合」の意味について▽非定期▽小規模▽伊江島の気象条件が訓練に不適切―であると認識していると指摘しています。しかし、それが米軍の解釈次第であることは、嘉手納基地での降下訓練が常態化していることからも明白です。

 嘉手納町議会が11月1日、「パラシュート降下訓練の例外的措置」の撤廃を求める意見書・決議を可決したのは当然です。

全面的な中止が必要

 在日米軍司令部は先の声明で降下訓練は「部隊の即応性を維持するために不可欠」だとしています。しかし、それは敵地侵攻のための“殴り込み”訓練です。「日本防衛」と無縁であるばかりか、住民の命と安全を危険にさらす訓練は全面的に中止すべきです。


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