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2019年11月1日(金)

主張

河井法相辞任

安倍政権の堕落・腐敗は底なし

 河井克行法相が、7月の参院選で初当選した妻・案里氏の公職選挙法違反疑惑をめぐる週刊誌報道を受け、辞任しました。9月11日に発足した第4次安倍再改造内閣では先週末に菅原一秀前経済産業相も、公選法違反疑惑で辞任しています。改造から2カ月足らずで初入閣の2閣僚が辞めるのは全く異常です。安倍政権の堕落・腐敗は底なしです。菅原氏も河井氏も安倍首相や菅義偉官房長官が重用してきた人物であり、とりわけ首相の任命責任が、厳しく問われます。菅原氏や河井氏の閣僚辞任だけでは済まされません。

国会の委員会前に突然

 河井氏に関わる公選法違反疑惑は31日発売の『週刊文春』が報じました。案里氏の参院選の際、「ウグイス嬢」と呼ばれる車上運動員に、規定の2倍である日当3万円を支払ったなどというものです。公選法は施行令で車上運動員の日当の上限を1万5000円としています。3万円の日当を支払ったとすれば、買収の疑いが濃厚です。違反した場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。同誌によれば、河井氏自身も選挙区内で有権者に、マンゴーやジャガイモなどを配ったとされる疑惑も指摘されています。

 『週刊文春』が店頭に並んだ日の朝、河井氏が突然辞任したのは、同日予定されていた参院法務委員会での追及から逃げるためです。選挙区内の支援者に公設秘書が香典2万円を届けたなどと報道され、公選法違反疑惑に問われた菅原氏が先週、衆院経済産業委員会が開催される直前に辞任したのと同じパターンです。どちらも露骨な“幕引き”狙いです。

 河井氏は辞任の際「私も妻も全くあずかり知らない」と主張しましたが、週刊誌報道によれば、河井氏自身が妻の選挙を取り仕切っていたと報じられています。「知らない」では通用しません。河井氏自身の“マンゴー疑惑”もあいまいにできません。法務行政にあずかる立場だった河井氏の責任は、とりわけ重いものがあります。河井氏も菅原氏も国会の委員会などに出席し、疑惑に答えるべきです。

 重大なのは、内閣改造からわずかの期間に、経産、法務という重要閣僚が相次ぎ辞任する事態を招いた首相の任命責任です。安倍首相は、「任命したのは私だ。その責任を痛感している」と言いましたが、河井氏にも菅原氏にも、説明責任を果たさせるとは言いません。問題閣僚を辞任させ後任を決めただけで、あとは“本人任せ”というのは許されません。首相自身も予算委員会の集中審議などで、きちんと説明すべきです。

資格問われる異常事態

 改造後の安倍政権では、大学入試への民間英語試験導入をめぐり「身の丈に合わせて」と教育の機会均等を否定する発言をした萩生田光一文部科学相や、「私は雨男、防衛相になってからすでに台風が三つ」と被災者の気持ちを逆なでした河野太郎防衛相などの発言も大問題になっています。安倍政権のおごりと緩みは目に余ります。

 2012年に第2次安倍政権が発足してから閣僚の辞任は10人に上ります。公選法違反など「政治とカネ」の問題が続発しても説明責任を果たさず、首相が任命責任を取らないのは内閣総辞職に値する異常事態です。安倍政権にはもはや政権担当の資格がありません。


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