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2019年10月16日(水)

主張

台風19号の被害

被災者が希望持てる支援こそ

 台風19号による記録的大雨が引き起こした災害は、東日本の各地で多くの犠牲者を出すなど深刻な広がりをみせています。河川の氾濫・決壊による浸水は東北、関東甲信越を中心に広い地域にわたっており、被害の全体状況の把握もなかなか進みません。住宅、商店、工場などの建物被害は、かなりの数にのぼることは必至です。農林水産業への打撃も計り知れません。被災者は心身ともに疲れ切っています。被災者が安心できて、明日への希望を持てる支援が急務です。政府は、現場からの切実な声を受け止め、きめの細かい迅速な対策を取ることが求められます。

深まる苦悩に心を寄せて

 被災地では、取り残された人がいないかなど、安否を確認する捜索と救援活動が続きます。水の引いた地域では、1階の天井近くまで冠水し家具などが横倒しになって散乱する泥まみれの自宅で、「どこから手を付けたらいいのか…」とぼうぜんとする被災者の姿があります。冠水が続く地域などでは、自宅の様子を確認できない人も少なくありません。「(被害は)まずまずで収まった」(自民党の二階俊博幹事長、13日)という発言は、被災者が置かれた現実からあまりにかけ離れた許し難いもので、認識を根本から改めるべきです。苦悩を深める被災者に心を寄せ、励ましとなる支えを強化する政治の役割が重要になっています。

 なにより急がれるのは、避難所の整備と環境改善です。台風災害をテーマにした15日の参院予算委員会で日本共産党の井上哲士議員は、内閣府が2016年に作成した「避難所運営ガイドライン」が現場で生かされているかどうかを政府にただしました。同ガイドラインは、これまでの災害避難の教訓などを踏まえ、避難所の「質の向上」を目指すとしています。ここで問われる「質」とは「人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送ることができているか」です。井上氏は、千曲川の氾濫で甚大な被害を受けた長野市内の避難所での調査結果を踏まえ、現場で努力はされているが、ガイドラインが十分徹底されていない現状があり、改善を要求しました。

 温かくバランスのとれた食事の提供、暖の取れる寝具の確保、プライバシーを守るための間仕切りの設置などは大至急必要です。朝晩を中心に冷え込みが増す季節の変わり目になる中で、被災者が体調を崩さないようにする医療・保健体制の整備は欠かせません。インフルエンザや風邪が広がらないようにするため、とくに注意が必要です。医療スタッフの派遣・増員などをはじめ、被災者が健康を保てる仕組みを確立すべきです。

思い切った対策の強化を

 収穫を目前にした農作物が壊滅的な打撃を受けるなど、農林水産業への被害は甚大です。さきに大きな被害を出した台風15号による被害への対策とあわせ、生業(なりわい)と地域の産業を応援する思い切った支援強化を検討すべきです。浸水で壊された多くの住宅を再建するためには、現行の被災者生活再建支援法の枠組みでは追い付きません。現在の法律や制度を活用するだけでなく、実情に見合った柔軟で弾力的な運用、必要な法改正にも踏み出すべきです。被災者の暮らしと生業の再建を最優先にすえた被災地の復旧・復興にこそ、政府は力を注ぐべきです。


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