しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年10月13日(日)

きょうの潮流

 「情」には、おもに三つの意味があるといいます。「感覚によっておこる心の動き(感情・情動)」「本当のことや本当の姿(実情・情報・情景)」「人情や思いやり(情け)」▼その情を、さまざまに表す作品に通底させた愛知の国際芸術祭が75日間におよんだ会期末をあす迎えます。人の内面に働きかける作品とむきあう静かな空間。それとは対照的な外からの嵐のような騒動は大切なものを奪い、私たちはそれを奪い返しました▼再開された「表現の不自由展・その後」。関心を抱いて見に来たという20代の女性は「歴史を学べ、いろんなことを考える機会になった」。何度も韓国に行きながら、平和の少女像のことは知らなかったといいます▼今回の脅迫や政治による圧力はこうした人たちから知る権利を奪い、情報を遮断することにつながります。抽選や入れ替え制をはじめ制約のもとでの再開は入場者の何倍もの人を落胆させ会場から遠ざけています。何度も抽選に外れたという男性は「これでは不自由のままだ」▼訪れた日、名古屋市内では河村たかし市長が相変わらず一部の作品や主催者を攻撃していました。「陛下への侮辱を許すのか」「天皇御真影を燃やすな」といったプラカードに囲まれながら▼分断や困難に直面する現代社会を象徴するとして「情の時代」をテーマに掲げた芸術祭。いまの日本に横たわるゆがんだ歴史認識、憎しみや差別をあおる勢力をあぶり出すとともに、それに抗し内外で連帯する姿を示した意義は大きい。


pageup