2019年10月8日(火)
首相の改憲発言に呼応
大島議長発言で国会紛糾
野党「職権逸脱」と抗議
安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党代表質問の衆院本会議が7日、予定されていた開会時間から1時間25分も遅れて開会しました。大島理森衆院議長が今臨時国会で改憲の国民投票法改定案の成立を図るように呼びかけた発言をめぐり、日本共産党など野党が「公正中立であるべき議長の職権を逸脱するもの」として謝罪と撤回を求めたのにたいし、議長がこれに応じなかったことによるものです。改憲をごり押ししようとする安倍政権の姿勢が臨時国会冒頭から混乱を呼び起こした形です。
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大島氏は5日、青森県八戸市での自らの政治資金パーティーで、「国民投票法改定案は約2年間議論している」「この臨時国会で結論を出してほしい」と発言しました。改憲勢力の3分の2割れを招いた国民の審判を無視し、安倍首相が所信表明演説で「理想を議論すべき場こそ憲法審査会」「しっかり議論しよう」と呼びかけた直後に、これに呼応しようとする発言です。
野党側は同日の衆院議院運営委員会理事会で大島議長の謝罪と発言の撤回を要求。断続的に国対委員長の協議を行いました。
その後、各党の議運委員の代表が議長と面会し、発言の真意をただしましたが、大島氏は「合意の努力をしてほしいという趣旨だ」と釈明し、発言を撤回しませんでした。このため、衆院議運委員会で野党側委員がそれぞれ議長の発言を批判。日本共産党の塩川鉄也議員は、「国会に提出されている議員立法は50本以上にわたる。国民投票法改定案だけ取り上げるのは道理がない。しかも、大島氏の発言は、与党の説明そのものだ」と指摘し、「野党はこの法案を欠陥法案だと批判している。与党中心の法案を前提に国会での合意を求めることは、与党にくみする姿勢そのものだ。発言の撤回と謝罪を」と批判しました。
立憲民主党の手塚仁雄議員は「公正中立な運営を求める」と批判。国民民主党の牧義夫議員は「議長の矩(のり)を超えたものだ」と強調しました。
大島氏は過去にも、公正中立を逸脱する発言をしてきました。6月30日放映の番組では、通常国会への感想を問われ「野党の戦略と戦術が足りない」と政府・与党が予算委員会の開会を拒否してきたことを棚上げにして野党を批判。野党から抗議を受けました。
今回の大島氏の発言は、安倍首相の最側近でもある自民党の萩生田光一幹事長代行(当時、現文部科学相)が、「有力な方を議長において憲法改正シフトを国会が行っていくのは極めて大事」(7月26日のインターネット番組)などと述べ、政権として衆院議長交代を辞さない強い姿勢をあらわにするもとでの発言であり、改憲に固執する安倍首相に協力しようとする姿勢の表れです。