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2019年10月7日(月)

きょうの潮流

 人種問題に目を奪われるな。日本政府の真のねらいは中国にある―。駐日米大使は米国の代表団にそう警告しました▼1919年、第1次大戦の戦後処理を話し合ったパリ講和会議。初めて国際会議に参加した日本は国際連盟創設にあたり唐突に人種差別を持ち出しました。未曽有の戦争の惨禍から平和と秩序を求める世界の潮流とは別の思惑で▼五大国の一員に列せられた日本ですが、自国の利害に関係すること以外は沈黙し「サイレント・パートナー」とやゆされました。全権代表の牧野伸顕は出発前に議事の引き延ばしと連盟案の骨抜きを政府から指示されたといいます。NHK取材の『理念なき外交「パリ講和会議」』にその時の様子が詳しく描かれています▼日本に人種問題を主張する資格があるのか。韓国併合で朝鮮半島を植民地化し、反対運動は武力で弾圧。中国の山東半島ではドイツの権益を奪いとる。当時の実情は日本の道理のなさを示していました▼1世紀の時をこえパリ講和会議での日本の態度がよみがえりました。「人種平等」を掲げたことが国際社会の基本原則になったと安倍首相が所信表明で持ち上げ、内外に批判がひろがっています。こんなことをしておきながら、それを美化するのかと▼他国や他民族を侵略していった結果、日本自身が破滅した歴史。それを一顧だにしない首相の姿は無知と傲慢(ごうまん)さに満ちています。イギリスの歴史家E・H・カーはこんな名言を。「歴史とは現在と過去との絶え間ない対話である」


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