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2019年10月7日(月)

主張

国連総会の議論

核兵器廃絶へ新たなステージ

 第74回国連総会が先月開会し、核軍縮を議論する第1委員会も7日から始まります。被爆75年と核不拡散条約(NPT)再検討会議を2020年にひかえて、核軍縮をめぐる国際的な論議と運動は、新たなステージを迎えようとしています。

揺るぎない世界の流れ

 グテレス国連事務総長は先月26日、「核兵器廃絶国際デー」の国連ハイレベル会合で「核兵器の存在は人類にとって受け入れがたい危険だ」「質の面での核軍拡競争が進んでいる」と強い口調で危機感を表明しました。

 中距離核戦力(INF)撤廃条約の失効後、米トランプ政権は核兵器搭載可能な中距離ミサイルの実験を行い、対抗するロシアのプーチン政権も「最新鋭兵器」の開発を公言しています。米国は、通常兵器やサイバー攻撃にも核兵器で反撃する方針を打ち出し、ロシアも「地域紛争」で核兵器を使う訓練を行っています。核使用や核軍拡競争の危険は深刻です。

 しかし、核兵器廃絶をめざす世界的な流れは、揺るぎなく発展しています。核兵器禁止条約の署名は79カ国、批准は32カ国へと増えました(50カ国で発効)。核保有大国などの執拗(しつよう)な非難と妨害にもかかわらず、発効は時間の問題となっています。この条約が発効すれば、核保有国への圧力はさらに大きなものとなるでしょう。

 核保有大国は、ジレンマにも直面しています。NPTは、核大国が核独占体制を維持するためにつくったものですが、核軍備撤廃の交渉義務(第6条)を明記したことで、圧倒的多数の国の支持と参加を得てきました。核保有国がこれに背を向け続けるならば、NPT体制の矛盾と破たんは避けられません。これまでのNPT再検討会議の到達点を踏まえて、核兵器廃絶への道筋をどう切り開くのかが、国際社会に問われています。

 核保有国の逆流を乗り越え、前進させていく最大のカギは、世論と運動の発展です。今年の原水爆禁止世界大会に参加した海外の政府代表も、いまこそ市民社会の力が必要だと訴えました。

 「ヒバクシャ国際署名」は1000万人を超えて広がっています。20年に向けて内外で大きく飛躍することが、強く期待されます。日本政府に核兵器禁止条約への署名、批准を求める地方議会の意見書も420を超えました(1日現在、日本原水協集約)。ところが核兵器廃絶の先頭に立つべき被爆国・日本の安倍晋三政権は、米国の「核の傘」への依存を強め、世界の流れに逆行しています。日本が禁止条約に署名、批准するためにも、これを共通政策とする「野党連合政権」が求められます。

未来を担う世代の力を

 いま世界で多くの若者が、温暖化対策を求めて立ち上がっています。約1万4千発ある核兵器の数%が爆発すれば、地球規模の気候変動がおこり、20億人が飢餓にひんするとの研究もあります。核兵器廃絶は、温暖化対策とは、課題の性格も運動のあり方も異なりますが、人類の生存を憂慮する若者が、核兵器の脅威を、今日の問題として受け止めるなら、大きな運動と共同が可能でしょう。20年にニューヨークで世界大会を開催することが、呼びかけられています。世論と運動を大きくつくりだす内外の取り組みが急がれます。


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