しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年10月4日(金)

臨時国会の焦点(下)

問われる安倍外交

発揮すべき行政監視

 安倍政権が国民や野党の要求を無視して約半年間も予算委員会の開会を拒否してきたもとで開かれる今回の臨時国会。日本側が一方的に譲歩を重ねた日米貿易協定や、日韓関係の悪化を深刻化させる「徴用工」問題での対応など、安倍政権による外交破綻が鋭く問われることになります。

日米貿易

 9月25日の日米首脳会談で、安倍晋三首相と米トランプ大統領が署名した日米貿易協定の「最終合意」は、その内容の点でも「合意」に至る過程でも、重大な問題を抱えるものです。

 「米国の農家にとって巨大な勝利」とトランプ大統領は誇ります。

 日本側が米側に一方的譲歩を重ね、豚肉などの米国畜産物の関税を大幅に引き下げる一方で、米側の自動車・自動車部品の関税削減は先送りされました。米国産トウモロコシの大量輸入も約束し、米国を「TPP超え」で特別扱いするものです。

 そもそもこの「貿易協定」自身、参議院選挙が終わるまで交渉内容を国民と国会に秘密にした上で「最終合意」しました。

 政府は、今臨時国会で同協定の承認を目指す考えですが、審議の前提となる同協定に基づく食品・農産物の輸出入試算ですら「臨時国会に間に合わない」(9月26日の野党合同ヒアリングでの政府側の説明)というありさまです。

 国民と国会を欺く政府の姿勢をただし、日本農業を破壊し、経済主権を脅かす「日米貿易協定」の徹底追及が求められています。

 悪化する日韓関係に懸念の声が広がっています。日韓関係の悪化をどう解決するか―安倍政権は、野党の求めを拒否して、この問題を国会で議論することを避け続けてきました。

 日本軍「慰安婦」問題や「徴用工」問題など日韓問題は、日本による過去の植民地支配の真摯(しんし)な反省の立場を土台にしてこそ解決の道が開かれます。臨時国会では、安倍政権による外交破綻の根本が問われます。

軍拡路線

 安倍政権は2020年度予算概算要求として、「イージス・アショア」やF35戦闘機をはじめとする米国製兵器の大量購入や、「いずも」型護衛艦の空母化などの大軍拡路線を打ち出しました。

 福祉・暮らしのための予算を切り捨て、米トランプ政権いいなりに大軍拡路線に突き進む政治のあり方でいいのかが、臨時国会での論戦の焦点です。

 沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設では、無法な土砂投入が進められています。民意を無視し、民主主義と地方自治、自然環境をも破壊する安倍政権の強権政治を許していいのか、引き続き問われています。

原発マネー

 関西電力の岩根茂樹社長ら経営幹部20人が、高浜原発がある福井県高浜町の元助役(故人)から計約3億2000万円相当の金品を受け取った「原発マネー還流疑惑」の徹底究明が求められています。

 同疑惑は、国民の支払った電気料金を原資とするお金が、「原発利益共同体」をめぐり、それぞれを肥やしながら関電幹部に還流した実態を浮き彫りにしました。

 経産省の関電に対する監督責任、政治家の関与、原発マネーの流れなど、国会が究明すべき課題は山積です。関電関係者など、この問題にかかわる関係者を国会に招致し、国会として徹底的な真相究明に取り組むことが必要です。

 何よりもこの問題の根本にある、安倍政権による原発再稼働ありきのエネルギー政策のあり方が問われます。

 野党は3日、この問題に関する合同ヒアリングを開きました。5日には現地調査を行う予定です。(おわり)(この連載は、佐藤高志、山田英明が担当しました)


pageup