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2019年9月29日(日)

主張

関電側へ多額金品

「原発マネーの闇」徹底解明を

 関西電力の八木誠会長、岩根茂樹社長ら幹部20人が、関電高浜原発がある福井県高浜町の元助役(故人)から7年間に3億2000万円相当の金品を受領していたことが明らかになりました。元助役には、原発関連工事を請け負う同町内の建設会社から資金提供されていました。国民が払った電気料金を原資とする「原発マネー」が関電に還流していた疑惑が濃厚です。原発が立地する自治体の有力者と電力会社との癒着の深い「闇」の徹底解明が急務です。

事実を隠ぺいし続け

 発覚の契機は金沢国税局が昨年1月に行った高浜町の建設会社への税務調査でした。原発関連事業に携わる同社から、受注にからむ手数料として元助役に約3億円が渡っていました。調査過程で元助役が関電経営陣に金品を送っていたことが確認されたといいます。

 関電は昨年7~9月に内部的な調査をしていたことを27日の記者会見で明らかにし、2011~18年までの期間に、会長、社長ら20人に3億2000万円分にのぼる金銭や背広券などが提供されていたことを認めました。1年にわたり隠し通してきた関電の体質も深刻です。会見した岩根社長は「おわび」を口にし、社内処分をしたというものの、各人がいくらの金銭や物品をもらったのか、それがどう扱われたのか、などの詳しい説明は避けました。金品を断れなかったのは「地元の有力者で、地域調整の観点でお世話になっている。厳しい態度で返却を拒まれたので関係悪化を恐れた」と釈明しました。元助役と極めて深い関係だったことをうかがわせます。

 20人もの幹部に金品が届けられ、内部でこっそり処理されていたことは、異常という他ありません。今回の調査期間は、課税の時効にあわせ過去7年分にとどまっています。これほどの金品のやりとりが、急に11年から始まったというのは不自然です。金銭の流れも関電社内だけにとどまっていたのかも疑問です。元助役は、高浜町に原発建設が浮上した1970年前後から誘致活動の旗振り役だったとされます。いつから、どんな規模で、どのような狙いで「原発マネー」が動いたのか、全体像を明らかにすべきです。

 問題の金品授受が判明した11年からの時期は、東京電力福島第1原発事故後の原発再稼働をはじめ原発政策が厳しく問われた時です。政官財一体で原発を推進した「原発利益共同体」への批判も沸き上がっていました。その中で、不透明な金品のやりとりが平然と行われていたことは、原発を推し進める勢力に、全く反省がないことを浮き彫りにしています。

再稼働推進は許されない

 八木氏は11年4月~16年6月に大手電力10社でつくる電気事業連合会の会長でした。岩根社長も今年6月から同会長です。安倍晋三政権下で進められた再稼働によって動かした9基のうち4基は関電の原発です。再稼働を率先して担ってきた電力会社の、しかも業界のトップが立地自治体の有力者と利権で結びついていたことは、原発事業全体が問われる大問題です。経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)が「八木さんも岩根さんもお友だちで…」などと言って、コメントしない態度は不真面目で無責任です。原発再稼働の推進など、いよいよ許されません。


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