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2019年9月28日(土)

「領域横断」で戦場拡大

2019年防衛白書 宇宙から地上まで

 27日公表された2019年版防衛白書は、陸・海・空に加え、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな戦闘領域を組み合わせた「領域横断」(クロス・ドメイン)作戦能力を獲得するとして、大軍拡路線を示しています。

中国を名指しで

 19年版防衛白書では、「領域横断作戦に必要な能力」の優先事項を整理(表)。これらの項目を実現するため、軍事費は過去最高を更新し続け、膨張の一途をたどっています。

 白書は、各国が「全般的な軍事能力において優勢にある敵の戦力発揮を効果的に阻害する非対称的な軍事能力の獲得のため、新たな領域における能力を裏付ける技術の優位を追求している」と指摘。とりわけ、この中で名指ししているのが中国です。

 これに対処するためとして、宇宙状況監視(SSA)体制構築、サイバー防衛隊の体制拡充、さらに電磁波領域では、相手方のレーダーや通信などを無力化するための能力を強化するとしました。相手の射程圏外から敵のレーダーや通信に電波妨害をかける「スタンド・オフ電子戦機」や、大量の電磁波を発生させ、地上の都市機能を破壊する電磁パルス(EMP)兵器などの導入に向けた研究開発を迅速に進めるとしています。違憲の敵基地攻撃能力につながります。

“夢の機体”

 同時に、陸・海・空の伝統的な領域でも一大強化を掲げています。

 敵の射程外から発射できる長距離ミサイル(スタンド・オフ・ミサイル)の導入や、最新鋭ステルス戦闘機F35Aの増勢、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)能力をもつF35Bの導入などを示しました。「いずも」型護衛艦の改修の必要性について詳しく解説し、護衛艦でのSTOVL機の運用実現によって「戦闘機の運用の柔軟性をいっそう向上させ(る)」として、空母化の狙いを示しています。

 “自衛隊版海兵隊”水陸機動団の能力向上、陸上自衛隊V22オスプレイ導入による機動・展開能力の向上を強調。オスプレイについては、米国での訓練状況を伝える自衛官のコラムを掲載。「自衛隊全般の作戦様相を大きく変える能力を有する『夢の機体』」などと持ち上げています。

図

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