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2019年9月24日(火)

主張

「全世代型」会議

「痛み」押し付ける議論やめよ

 安倍晋三政権が設置した「全世代型社会保障検討会議」の最初の会合が先週末開かれました。議長を務める安倍首相が「社会保障全般にわたる持続可能な改革をさらに検討する」などと発言したほか、財界代表メンバーの経団連会長からは、高齢者の負担増に向けた議論の必要性を強調する声が上がりました。安倍政権は、すでに医療・介護・年金などで負担増と給付減を推進する方針を確認しており、検討会議が、その危険な流れを加速させる役割を担うことは明らかです。「全世代型」という看板で、国民に「痛み」を押し付けることは許されません。

暮らし破壊拍車かける

 検討会議は、安倍首相が第4次再改造内閣発足後の記者会見(11日)で設置を発表したものです。首相は「令和の時代の新しい社会保障制度の在り方を大胆に構想していく」と表明し、改造内閣の“目玉”に位置付けています。

 20日開催された初会合では、負担増や給付削減をストレートに求める意見は出なかったとされています。しかし、7月の参院選前に、国民の反発を恐れ持ち出すことができなかった社会保障の各分野の改悪を本格的に進めようという安倍政権の狙いは隠せません。

 会議に提出された基礎資料には、安倍政権が6月に閣議決定した「骨太の方針」や「成長戦略実行計画」、それに関連する文書からの抜粋が数多く記載されました。この間、安倍政権が推し進めてきた社会保障破壊の基本的方向を踏襲し、一段と拍車をかけようという本音を示すものです。

 これでは国民の暮らしはますます追い詰められます。その一つが主要な検討対象になっている介護保険の利用者負担の引き上げです。現在の原則1割を2割にする企てです。介護保険の利用者負担増は一定所得以上の人にはすでに実施されており、それによって負担増に耐えきれずサービス利用をあきらめる人が少なくないことが厚生労働省の調査でも判明しています。この実態を無視し、負担増議論ばかり先行させることは、国民の願いに逆らうものです。

 75歳以上の後期高齢者医療制度でも現在の原則1割負担を2割に引き上げることが検討会議のテーマになると指摘されています。しかし同制度導入直後の08年、当時首相だった麻生太郎財務相は“現役世代より低い1割負担で心配なく医療が受けられる。ぜひ維持したい”と明言していたはずです。麻生財務相は検討会議のメンバーです。過去の発言を平気で投げ捨て、国民にさらなる負担を強いることに全く道理はありません。

 高すぎる国民健康保険料(税)のアップにつながる仕組み拡大が議題になる危険もあります。

 国民の負担増は、受診と利用の抑制を招き症状をさらに悪化させ、結果的に医療や介護にかかる費用を膨張させます。財政面でもマイナス効果を引き起こす負担増路線は中止することが必要です。

国民応援の政治実現を

 財界代表や政府の意を代弁するメンバーでつくる会議では、国民の切実な声を受け止めることはできません。消費税増税に続き、社会保障破壊を狙う安倍政権の下では暮らしは成り立ちません。消費税に頼らず社会保障財源を確保し、国民生活を応援する政治の実現がいよいよ重要となっています。


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