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2019年9月16日(月)

復旧遅々 雨心配

台風15号1週間 停電なお12万戸

千葉・南房総

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(写真)瓦や屋根が飛び、ブルーシートが張られた家が点在し、手付かずの家も残されている多田良地域。高台にある温室のガラスやビニールも飛ばされ、農業の被害も深刻です=15日、千葉県南房総市(山形将史撮影)

 台風15号による暴風雨が千葉、神奈川両県などに猛威を振るった被害発生から16日で1週間になります。千葉県内では15日午後7時現在で約11万7500戸が停電、約2万戸(同午後4時現在)で断水が続き、被災者は今も不自由な生活を強いられています。停電復旧が遅れている千葉県南部の南房総市を訪ねました。(岡素晴、和田育美)

 千葉県では、16日の大雨・突風が予想され、同市でも至る所でブルーシートをかけて雨をしのぐ応急処置のため、屋根に登って作業する人たちが目立っていました。

 東京電力によると、同市では約1万3000戸(15日午後6時現在)で停電が続いています。同市西部の海岸沿いにある富浦町多田良(たたら)地域では、約700戸で停電が継続しています。15日、電源復旧の支援のために関西から投入された作業車両が路幅の狭い道を行き交っていました。

 自宅から通りに出ていた女性(67)は「台風というより竜巻のような大風で、玄関が吹き飛ぶかと思うぐらい怖かった。昨日まで、道路両わきの電柱がほとんどのように倒れていたのよ。電気の復旧にはしばらくかかりそう」と漏らしました。

 水道、ガスは無事でしたが、冷蔵庫や洗濯機が使用不能。風呂を沸かすにもスイッチが電動のために「台所の鍋で水を沸かして何回もバスタブに運んでいます。洗濯は手洗い。とにかく停電を早く何とかしてほしい」と語りました。

 市役所近くは電気が通り始めているものの、完全復旧ではなく、土のう袋をもらうため市役所を訪れた50代の女性は「まだ停電が直っていない。お風呂は友人の家で入れてもらっている」と言います。自宅周りにはビニールハウスの針金や瓦屋根の破片などゴミが飛散しており、「家の中もガラスが飛び散っているけど、掃除機がかけられない」と話しました。

屋根いつ直るか…

雨漏り心配だが自宅に

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(写真)割れた瓦やトタンなど、仮置き場に被災ごみが次々と運ばれてきます=15日、千葉県南房総市の市役所駐車場(山形将史撮影)

 千葉県では15日午後4時現在で全半壊、一部損壊、浸水被害をあわせた住家被害が計1297棟ですが、被害が甚大だった南房総市や館山市などの被害は含まれていません。屋根部分が丸ごとなくなった建物やブルーシートで覆われた家があちこちで見られる南房総市でも、住家被害は相当数に上っていると推定されます。しかし、市内数カ所で開設されている避難所に実際に避難している人は、多くて各10人に満たない数だといいます。

 屋根の被害を受けても、多くの被災者が応急処置しただけで済ませ、雨漏りの心配をしながら、自宅で生活を続けているとみられます。

 市の指定避難所「富山ふれあいコミュニティセンター」に身を寄せている1人暮らしの61歳男性は、床上浸水などで自宅が居住できなくなったといいます。暴風雨が強まった被災当日の9日未明。1階玄関から浸水し、2階の窓ガラスも割れてしまったため、「階段の真ん中に座り込んで夜を明かしました」と恐怖の一夜を振り返りました。

 避難所生活は、食事に困る不安もなく、職員の対応も親切で、困っていることはないといいますが、男性のほかに夜を過ごしているのは、乳幼児がいる1家族だけ。「避難者が少ないのでここが閉鎖になれば、他のところに行かないとならなくなるのが心配。自分でも探していますが、代わりの住まいが見つかるまでは、どこにも行くところがない。落ち着ける場所にいたい」と話しました。

 徐々に電気の復旧が改善され、「スーパーも開いているから物資はある」という男性(66)。「屋根はブルーシートをかけるなど、応急処置はしているけど、本修理がいつになるかは分からない」と話しました。

 電気が13日にようやく通ったと話す女性(48)は「あったかいお風呂に入れたのがうれしかった」と話しました。

 障害者施設グループホームとみうらの片づけをしていた男性(80)は、「家庭電気は回復したけど、業務用の電気は見通しがたたない」といいます。「けが人がなくてよかった。なんとかしのいでやっています」と話しました。

 南房総市役所前の被災ゴミ集積所は、屋根瓦やトタンなどを運ぶ軽トラや乗用車が往来していました。


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