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2019年9月12日(木)

改憲へ「最強」の体制 安倍首相の狙い

 「思う存分、自分のやりたいことをやる体制。おそらく安倍政治の総決算を目指す」「最後に、一緒に憲法改正をやろうという、オールスターの体制だ」

 日本会議国会議員懇談会関係者の一人は11日の内閣改造・自民党役員人事を見てこう述べます。

 安倍晋三首相は11日朝の党役員会の冒頭、「わが党の長年の悲願である憲法改正を党一丸となって力強く進めていきたい」と発言し、まっすぐに改憲に切り込む姿勢をアピール。二階俊博幹事長も新4役の会見で「党を挙げて憲法改正に向けての努力を重ねたい」と述べました。

異質な人事

 他方で日本会議議連関係者は、「今までの改造とも確かに異質な人事」と指摘。日本会議議連の幹部、中枢メンバーを内閣と党役員、国会の憲法審査会の要職にズラリと配置し、「お友達内閣」と言われることも顧みない体制に、異様な雰囲気がにじむことを否定しません。「安倍首相が考える『最強の布陣』なのだろう。側近の多用は、安定というより挑戦の意思のあらわれ」(同関係者)と語ります。

 第2次安倍内閣発足以来、7年近く寄り添ってきた衛藤晟一首相補佐官が初入閣。同氏は日本会議議連の中枢にいる人物です。

 また、同議連元事務局長の萩生田光一幹事長代行を文科相に起用。加藤勝信元厚労相を同ポストで再任し、河井克行首相秘書官を法相に抜てき。西村康稔官房副長官を経済再生担当相に起用するなど、若手側近を積極起用しました。

 前出の関係者は「『今までよく支えてくれた』という意味や、次世代のリーダーを競わせ、力を発揮させる意味もある」と解説します。

 安倍首相は11日夕方の改造を受けての会見で、「憲法改正を必ずやり遂げる」と再び明言。並々ならぬ決意をあらわにしました。

無反省体質

 他方、新体制は国民愚弄(ぐろう)の無反省体質をより強く示すものとなっています。

 首相の「腹心の友」が経営する学校法人に獣医学部新設(愛媛県今治市)を特例的に認めた加計学園問題で、文科省に強い圧力をかけた疑惑がもたれる萩生田氏を文科相に起用。また「政治的中立」を欠く内容に対する停波発言で報道・表現の自由の侵害を批判された高市早苗元総務相を同ポストに再任。また裁量労働制の拡大をめぐりデータねつ造問題で批判を浴びた加藤氏を同ポストに再任など、国民の厳しい批判をあざ笑うかのような人事に、批判が強まるのは必至です。

 国民の求めない改憲推進と、国民の批判を省みない無反省体制は、国民との矛盾とあつれきを一気に拡大させかねません。市民と野党の共闘が迎え撃ちます。(中祖寅一)


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