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2019年8月21日(水)

デニー沖縄知事に聞く

辺野古・地位協定 「自分事」と考えて

野党共通政策「大きな意義」

 翁長雄志・前沖縄県知事の急逝から1年、全国でトークキャラバンを開催し、基地や安全保障問題を「自分事として考えてほしい」と訴える玉城デニー知事に思いを聞きました。(聞き手・写真 竹下岳)


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(写真)玉城デニー知事

 ―デニー県政発足から間もなく1年、沖縄の基地問題を、どこまで全国的な問題に押し上げられましたか。

 沖縄県の基地問題、わけても辺野古新基地建設、普天間基地、日米地位協定に関する問題意識を共有し、それを主権者・国民が「自分事」として捉え、理解と協力、行動につなげ、問題解決に向けた国民的な機運の醸成を図ることが、トークキャラバンの目的です。

 19日には名古屋で780人以上が来場し、関心の高さを実感しました。国民的な関心の契機となったのが、昨年8月8日の翁長知事の急逝です。民主主義や尊厳、地方自治を掲げ、「辺野古に基地はいらない」と訴え続けてきた翁長県政の動向と国民の関心の高まりは軌を一にしていました。

 その後、私が知事候補に推挙され、9月の県知事選、今年2月24日の県民投票、4月の衆院沖縄3区補選と、沖縄への関心の高まりが継続していると実感しています。

 そうした中、7月の参院選では、野党統一候補が「辺野古新基地建設の中止」を共通政策に掲げました。一概に辺野古だけが争点とはいえませんが、新基地建設の中止で互いに一致できたことは、非常に意義が大きかったと、私は捉えています。

 ―「自分事」とは。

 多くの国民は安全保障や地位協定などの問題に接すると、「外交・防衛は国の専権事項」であり、自分たちから遠い問題だと考えているのではないでしょうか。しかし、それらは国民の生命・財産に直結する課題です。

 日米地位協定についていえば、全国どこでも米軍機が墜落したら、現場は即座に封鎖され、土地の所有者でも立ち入りできなくなります。関東には、「横田ラプコン」といわれる、米軍が管制権を握る広大な空域が存在します。

 辺野古の新基地建設では、完成の見通しすらたたないのに、沖縄県の試算で当初見積もりの10倍にもなる2・55兆円もの税金が投じられようとしています。すべての国民はその当事者であるということを提起し続けていきたいと思っています。

辺野古の設計変更申請 審査できる段階にない

 ―辺野古新基地建設をめぐり、政府は大浦湾での軟弱地盤の地盤改良のための設計変更申請を提出する考えを表明しています。県知事には申請を承認する権限がありますが、どう対応しますか。

 まず、軟弱地盤の存在などを事由として辺野古埋め立て承認を撤回しているというのが県の基本的な立場です。加えて、2013年12月の辺野古埋め立て承認に付した留意事項に基づく県との事前協議を行わずに工事を開始したことも、撤回の事由にあげています。

 政府側の手続きとして想定される辺野古埋め立て工事の設計変更申請に対して、われわれがどう対応するのか、現段階では明確にお答えすることはできません。他方、この間、埋め立て承認願書とは異なる手法での違法工事などに対して、県はさまざまな行政指導を出していますが、政府は応じていません。設計変更申請の前段階ともいえるこれらの事項も整理しなければなりません。そういうことを抜きにして、設計変更を出したから審査せよというやり方は正当ではありません。

 ―知事は名古屋でのトークキャラバンで、在沖縄米軍の駐留の是非をめぐり、「沖縄がいつまでも防衛ラインでいいのか」と述べ、平和構築のための国際会議を沖縄で開催する構想に言及しました。

 私は県知事選の選挙公約にも、沖縄への国連機関の誘致を掲げています。昨年11月にニューヨークの国連本部で中満泉国連事務次長(軍縮担当)とお会いした時も、「沖縄をアジアにおける平和の緩衝地帯にしたい」とお話し、問題意識を共有させていただきました。日本は核を含めて軍縮の方向性を明確に打ち出すべきであり、そのために、沖縄での各国の首脳会談開催や、女性指導者による国際会議を開催するという構想を持っています。

 これまで、多くの女性が平和構築に尽力し、ノーベル平和賞など国際的な評価を得ています。女性のみなさんによる平和構築のための準備を整えることも大事だと思います。

 沖縄を国家間の外交・防衛の中に割り込むのではなく、地域としての平和構築の努力と、経済や文化・スポーツなどの交流事業で、各国の平和的な交流を続けられる場所にしていきたい。沖縄は歴史的にも文化的にも十分、そのような役割が認められると思っています。

トークキャラバン 来月は大阪で開催

 沖縄県は基地問題に関する全国的な世論を喚起する考えから、「We love OKINAWAデニー知事トークキャラバン」を全国で開催。次回は9月8日午後2時半から、大阪沖縄会館。


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