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2019年8月17日(土)

主張

「森友」不起訴

政治の解明責任いよいよ重大

 大阪の学校法人「森友学園」への国有地の格安払い下げや、財務省の決裁文書の改ざん・廃棄などが行われていた問題で、大阪地検特捜部は先週、佐川宣寿・元財務省理財局長や職員らを再び不起訴処分にしました。特捜部が昨年5月不起訴処分にした後、くじで選ばれた市民で構成する大阪第1検察審査会が今年3月「不起訴不当」としたため、再捜査が行われましたが、結論は変わりませんでした。

 これで疑惑に幕引きすることは許されません。疑惑を解明し、政治責任を明確にするため、国政調査権を持つ国会が役割を果たすことがいよいよ必要です。

「森友」議論しない与党

 「森友」疑惑は一昨年2月に一部の報道などで、大阪府豊中市内の国有地が、同地に小学校の開設を計画した「森友学園」に、鑑定価格から9割近くも値引きした破格の安値で払い下げられたことが発覚したのが始まりです。開設予定の小学校の「名誉校長」が安倍晋三首相の妻の昭恵氏だったことも明らかになり、国政を揺るがす大問題に発展しました。

 発覚後の国会での野党の追及やマスメディアの調査で、昭恵氏といっしょに学校予定地を視察した際の写真を前理事長が財務省に見せたり、昭恵氏付きの政府職員が財務省に問い合わせをしたり、前理事長が「昭恵氏が棟上げ式に来る」と伝えたことなどが、国有地の不当な処分の背景になったことが浮き彫りになりました。

 疑惑発覚直後、安倍首相は「私や妻(昭恵氏)が関係していれば、首相も国会議員も辞める」と国会答弁し、それに合わせて佐川氏らは、国会で決裁文書は「廃棄した」などと主張し、安倍首相と妻の昭恵氏をかばい続けてきました。

 財務省自身の調査で昨年になって、一部の決裁文書などが出てきたことから、佐川氏らの国会での虚偽答弁や払い下げの決裁文書など公文書の隠ぺい・改ざん・廃棄は首相の答弁に合わせて実行されたことが裏付けられ、国民の怒りはさらに広がりました。

 言うまでもなく国有地は国民の共有財産であり、公文書は国民共有の知的資源です。その不当な安値での払い下げや、公文書の違法な隠ぺいや改ざんが、あいまいに済まされていいはずはありません。

 日本共産党などの野党が再三、国会の予算委員会などを開いて、「森友」疑惑を徹底審議するように求めても、安倍首相と与党は、それに背を向けています。安倍首相や与党は昭恵氏らの国会への証人喚問に応じようとしません。文字通り、「森友」疑惑を議論し、真相を解明する党か、議論しようとせず、疑惑の真相解明を妨げる党かの対比は鮮明です。

幕引きは許されない

 佐川氏らの監督責任がある麻生太郎財務相・副総理は、佐川氏(当時国税庁長官)を辞職させただけで自らは職にとどまり、麻生氏を任命した安倍首相も、麻生氏や昭恵氏をかばい、疑惑を明確にしないことは重大です。行政が正常に機能しないなら、国会がその責任を果たすしかありません。与党は速やかに、衆参予算委員会の開催や、昭恵氏らの証人喚問を認め、疑惑の解明に協力すべきです。

 司法の捜査が終結したからと言って、民主主義社会の根幹に関わる「森友」疑惑の解明を終わらせてはなりません。


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