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2019年8月9日(金)

主張

沖国大墜落15年

新基地断念し普天間閉鎖こそ

 沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に配備されていた大型輸送ヘリCH53Dが、沖縄国際大学(同市)に墜落するという重大事故を起こしてから15年を迎えます。この間、普天間基地には垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが新たに配備されるなど、その危険性は減るどころか、いっそう増大しています。一刻も早い閉鎖・撤去は県民の総意であり、待ったなしの緊急の課題です。

事故の危険さらに拡大

 米海兵隊のCH53D大型輸送ヘリが普天間基地に隣接する沖縄国際大に墜落したのは、2004年8月13日でした。事故機は空中で尾翼が折れ、きりもみ状態で大学の本館ビルに激突・墜落し、数回の爆発を伴いながら激しく炎上しました。飛び散った機体の破片などによって大学周辺の住宅地にも多くの物的被害が出ました。学生や教職員、市民に死傷者が出なかったのは、まさに奇跡的でした。

 あれから15年、普天間基地の状況はどう変わったのか―。

 知事や県議会をはじめ県内全41市町村・議会の反対にもかかわらず、12年から13年にかけてオスプレイ24機が強行配備され、大幅な機能強化が図られました。普天間基地所属のオスプレイは16年12月、沖縄県名護市安部の沿岸に墜落し大破、17年8月にはオーストラリア東部沖でも墜落しました。

 オスプレイ以外の普天間基地所属機の事故も相次いでいます。CH53E大型輸送ヘリが17年10月、東村高江の牧草地に不時着し炎上したほか、宜野湾市では17年12月、普天間第二小学校の校庭に窓を、緑ケ丘保育園の屋根に部品を落下させています。いずれも一歩間違えば惨事につながる事故でした。

 沖縄国際大への墜落事故が米国のイラク侵略戦争と密接に関わっていたことも見過ごせません。事故は整備不良が原因でした。沖縄の海兵隊は当時、戦闘が激化するイラクへの派兵準備を急いでおり、その下で整備兵が異常な長時間・過密勤務を強いられたことが整備不良の背景にありました。

 こうした兵士の疲弊や整備不良は今も、米軍にとって深刻な問題となっています。17年6月、当時のマティス米国防長官は議会証言で、米国のアフガニスタン報復戦争(01年)以来、16年間にわたる大規模派兵と戦闘状態の継続が、米軍の装備を劣化させ、補給品を制約し、兵員に過重労働を強いていると述べています。沖縄の海兵隊も例外ではありません。

 安倍晋三政権は普天間基地を今年2月までに運用停止にするという沖縄県との約束をほごにしました。運用停止どころか、普天間基地の所属機ではないF35B戦闘機など外来機の飛来が増え、騒音被害や事故の恐れを拡大しています。許し難い事態です。

辺野古埋め立ては破綻

 安倍政権は、名護市辺野古の新基地建設が普天間基地の危険性を除去する「唯一の解決策」だと繰り返しています。しかし、普天間基地の所属機は県内外の各地で事故を起こしており、辺野古に移してもその危険性は変わりません。

 しかも、辺野古の埋め立て予定海域には軟弱地盤が存在し、沖縄県は完成までに今後13年以上かかると試算しています。破綻は明白です。安倍政権は、辺野古新基地を断念し、普天間基地の即時閉鎖・撤去にこそ踏み出すべきです。


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