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2019年8月4日(日)

「表現の不自由展」中止に

愛知・国際芸術祭 脅迫・圧力発言受け

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(写真)「表現の不自由展・その後」で展示されていた「平和の少女像」=1日、名古屋市

 愛知県で1日開幕した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介芸術監督)の企画展の一つ「表現の不自由展・その後」が、3日限りで中止に追い込まれる事態が起きました。同芸術祭の実行委員会会長である大村秀章愛知県知事が3日、会見して発表しました。

 同企画展は、日本の公立美術館で展示を拒否されたり、一度は展示されたものの撤去されたりした作品を、その経緯とともに展示するもの。「従軍慰安婦」を象徴する「平和の少女像」や昭和天皇をモチーフとした作品、公民館だよりに掲載拒否された「9条俳句」、安倍政権批判のメッセージが問題視された作品などが含まれています。

 企画展が報道された7月31日以降、「ガソリン缶をもってお邪魔します」などのテロ予告や脅迫を含むメール、電話などが2日間で1400件に上ったといいます。

 同企画展をめぐっては、河村たかし名古屋市長(同芸術祭実行委員会会長代行)が2日、少女像について「日本の国民の心を踏みにじるもの。即刻中止を申し入れる」と表明。あいちトリエンナーレには「10億円を超える多額の税金が使われている」のに「行政の立場を超えた展示が行われている」として、「即時、天皇陛下や慰安婦問題などに関する展示の中止を含めた適切な対応」を求める抗議文を大村知事に提出していました。

 菅義偉官房長官も同日、今後の補助金の交付決定について「事実関係を確認・精査して適切に対応したい」と圧力といえる発言をしていました。

 会見で大村知事は「展示の中身に行政が介入したら、芸術祭というものは成り立たなくなる」としつつ、「抗議電話が殺到しスタッフの対応能力を超えた。芸術祭全体の安心安全、今後の円滑な運営のために判断した」とのべました。

 同時に会見した津田芸術監督は「(会期末までの)75日間展示を続けることが最大の目標だった。このような形で中止になったことは断腸の思い」と語りました。河村、菅両氏の発言については「安全管理上の問題が唯一の中止理由だが、政治家の発言が(安全上の問題を起こさせる)きっかけになったことは否定しない」とのべました。


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