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2019年8月2日(金)

主張

「議長交代」発言

安倍政権のおごり示すものだ

 安倍晋三首相の最側近である萩生田光一自民党幹事長代行が、改憲案づくりのための衆院の憲法審査会を動かすために、衆院議長の交代にまで言及したことに批判が高まっています。問題の発言は7月26日の右派系インターネット番組でのものです。現在の大島理森議長が「調整型」だなどと不満を示し、「有力な方を議長において憲法改正シフトを国会が行っていくというのが極めて大事だ」と述べました。安倍首相が執念を燃やす改憲の実現に向け、衆院議長を意の沿った人物にしようという、「三権分立」の原則さえ無視した言語道断な暴言です。

国民は改憲望んでいない

 萩生田氏は「言葉足らず」などと言い訳し、自民党の二階俊博幹事長は「注意」したといいますが、それでことは済まされません。

 衆参の議長は国会法で、「その議院の秩序を保持し、議事を整理し、議院の事務を監督し、議院を代表する」(第19条)と定めています。大島議長も、所属会派の自民党を離脱して2015年に就任しました。与党の言いなりになるのが、議長の役割ではありません。ましてや憲法審査会の議論が進まないからと、与党の一員として、自ら推薦した議長を任期中にすげ替えるなどという萩生田氏の発言は、全く成り立ちません。

 だいたい、主権者・国民は、安倍首相の下での改憲を望んでいません。先の参院選で、自民・公明、日本維新などの「改憲勢力3分の2議席割れ」を実現したのは、性急な改憲に賛成できないという、国民の明白な審判です。

 参院選後のマスメディアの世論調査でも、この結果が「よかった」が多数です。むしろ世論調査は、安倍政権が優先すべき課題として、「改憲」を挙げる声は少数です。「朝日」(7月24日付)では「年金などの社会保障」が38%で「改憲」は3%です。「読売」(同日付)も「社会保障」が41%で「改憲」は3%、共同通信も「改憲」は6・9%にすぎません。

 安倍首相は参院選結果に反して、憲法審査会での議論を加速させたいと固執しますが、それこそ民意無視です。国民が望んでもいないのに、憲法尊重擁護義務を投げ捨て、改憲の旗振りをする首相の姿勢は、憲法で権力を縛る立憲主義の最悪の破壊です。

 安倍首相は参院選中、盛んに「憲法を議論する党か、議論しない党かを選ぶ選挙だ」と主張したのに、それが通用しなかった事実を受け止め、改憲策動をきっぱり断念すべきです。改憲策動が進まないから、衆院議長を代えるなどという強権的な手法で、改憲に突き進むことなど論外です。

反対の世論を広げに広げ

 安倍首相が狙う、憲法9条に自衛隊を明記する改憲は、戦力不保持・交戦権否認をかかげた同条を空文化・死文化させるものです。政府や多数党が法律さえ通せば、海外での武力行使をはじめ、自衛隊の行動を無制限に拡大でき、海外で米軍と肩を並べてたたかう自衛隊に道を開きます。

 安倍首相らが改憲議論に拍車をかける動きを強めているのは、国民世論が改憲にブレーキをかけていることへのいらだちの表れです。3000万人署名をはじめ、草の根からの世論と運動で包囲し、安倍首相による改憲を阻止していくことがいよいよ重要です。


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