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2019年7月27日(土)

消費税増税 多数は「反対」

中止の世論、さらに大きく

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 自民・公明両党が参議院選挙で改選議席の半数を超えたことで、安倍晋三首相は10月に予定する消費税増税を強行しようとしています。しかし、消費税増税で、国民生活も日本経済も危機にさらされることは明らかです。(清水渡)

自民9議席減

 安倍首相は参院選の投開票日のテレビ番組で、「(消費税)増税を掲げながら過半数を得るのは至難の業だといわれたが、おかげで国民の理解をいただいた」と述べ、増税に国民のお墨付きを得たかのように振る舞っています。しかし、この参院選で自民党は改選議席を9議席も後退させました。

 NHKが行った出口調査では、消費税率が10月に引き上げられることについて、「賛成」と答えた人が43%だったのに対し、「反対」が57%。国民の理解が得られたなどとは到底いえません。

個人消費低迷

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 今の日本経済は消費税増税に耐えられません。6月の消費動向調査では、消費者心理が9カ月連続で悪化。日銀短観では、企業の景況判断が2期連続で悪化しています。

 明治安田生命が発表している「夏に関するアンケート」では、「夏休みに使うお金」は6万8071円と、2006年の調査開始以来、最低の金額です。金額を減らした理由の1位は「今後の出費予定に備えるため」の34・6%。以下、「預貯金に回すため」(31・4%)、「消費税増税が控えているため」(29・6%)と続きます。社会保障など将来不安や消費税増税が消費者心理に影響を与えています。

 民間シンクタンク・ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は、日本経済が消費税増税に耐えられるかというリポートを発表。斎藤氏は足元の個人消費が前回(14年)の消費税増税時に比べ「かなり弱い」と指摘します。「駆け込み需要」が本格化する前となる増税3年前からの個人消費の推移を比較すると、前回増税時には年平均で2%以上の伸びだったのに対し、今回はゼロ%台の低い伸びにとどまるからです。

外需も不透明

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(写真)消費税増税ストップの宣伝に足をとめ、シール投票や署名をする人たち=6月24日、東京・新宿駅前

 斎藤氏のリポートは設備投資について、伸びているものの、計画の下方修正幅が大きくなるなど、「変調の兆しがみられ、輸出を取り巻く環境は前回増税時よりもかなり厳しい」としています。背景に企業収益の悪化と景気の先行き不透明感の高まりがあります。輸出については、「中国をはじめとした世界経済の減速、グローバルなIT需要の減退を背景に弱い動きが続いている」と指摘。斎藤氏は、輸出低迷が続けば「2019年度後半以降の日本経済は内外需総崩れとなる恐れがある」と警鐘乱打します。

 海外経済は不振が続きそうです。中国の4~6月期のGDP(国内総生産)は、統計開始以来最低となる実質6・2%増にとどまりました。米中貿易摩擦の影響です。

 米中貿易摩擦は日本にも大きな影響を与えています。19年上期の工作機械受注総額は前年同期比で3割減。とりわけ中国向けは48・2%減となりました。

 英国で欧州連合(EU)離脱強硬派のジョンソン首相が誕生。10月末には合意の有無にかかわらずEUから離脱するとしています。国際経済に多大な影響を与えることは間違いありません。

 安倍首相は海外リスクをあげて「必要とあらば追加の対策を行う」としています。しかし、すでに増税分以上の「対策」が決まっています。さらに「追加対策」が必要というなら、なんのための増税強行なのでしょう。

 今こそ、消費税増税を中止し、参院選で日本共産党が訴えた「三つの提案」((1)1日8時間働けばふつうに暮らせる社会をつくる(2)暮らしを支える社会保障を築く(3)お金の心配なく学び、子育てができる社会をつくる)の実現を政府に迫るときです。

庶民には未曽有の苦しみ

立正大学客員教授・税理士・不公平な税制をただす会共同代表 浦野広明さん

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 10%への消費税率引き上げを前に、食料品を中心に値上げが後を絶ちません。物価が上がっているので、10%への引き上げは消費者の負担をさらに増やします。年収500万円の人の場合、増税による負担増は約21万円にもなります。

 消費税増税論者は、多額の借金(国債)と社会保障の拡充を増税の理由に挙げます。しかし消費税の導入以来、消費税収の大部分は法人税減税の穴埋めと軍事費に消えました。消費税は借金を増やし、社会保障を削減するのです。社会保障の負担が増え、庶民は未曽有の苦しみを負うことになります。

国会論戦で政権追いつめ

消費税をなくす全国の会事務局長 木口力さん

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 消費税率10%への増税を見越した便乗値上げが続き、家計を直撃しています。さらに安倍政権は入院給食費を1日600円増やし、年金支給額を切り下げ、医療、介護の給付を削減してきました。75歳以上の患者負担や介護保険利用料を原則1割から2割に引き上げる計画もあります。

 このもとで厚労省の調査でも「生活が苦しくなった」世帯が58%にのぼっています。

 「もう10%中止はむり」という声も一部にありますが、私たちは2回食い止めてきました。世論と運動、野党の国会論戦で安倍政権を追いつめれば、増税は中止させられます。


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